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王族・皇族
ビジネスパーソン
アウトロー
大英帝国の基礎を作った女王。彼女の統治した時代は、とくにエリザベス朝と呼ばれ、イングランドの黄金期と言われている。だが実際には裏で奴隷ビジネスを行っていたり、もちろん植民地支配を進めていたりして、帝国発想の時点で、マフィアに近い考え方をしている。
世界各地を植民地化・半植民地化して繁栄を極めた大英帝国を象徴する女王として知られ、その治世は「ヴィクトリア朝」と呼ばれる。これも同じである。例えば彼女が企業の経営者で、各地を渡り歩いて開拓し、世の為の商品やサービスを展開した代償に繫栄したならいいが、そうではない。
王妃マルゴは、フランソワ2世、シャルル9世、アンリ3世の3人のフランス王の妹であり、ナバラ王、のちフランス王となったアンリ4世の最初の王妃である。幼い頃から際立つ美貌と、教養がありギリシャ語、ラテン語などの語学や哲学などにも造詣が深い彼女は、宮廷の華として誰もが憧れる絶世の美女として成長していった。
フランス国王ルイ16世の王妃。オーストリアとフランスの政治的同盟のためルイ16世へ嫁いだ彼女は、ヴェルサイユ宮殿での宮廷生活で贅の限りを尽くした。彼女を擁護する話もたくさんあるが、仮面をつけて外で遊び、大きくお金を浪費。自分のドレス代は年間10億円というのだから、やはり彼女に悪い噂が立つのは仕方ない。
清朝最後の皇帝で後に満洲国皇帝となった溥儀(ふぎ)の生涯を描いた歴史映画。彼は皇帝というその身分であるからゆえ、赤ん坊の頃からその世話を焼く大勢の大人たちがいた。彼自身が財産を散財させたようなことはないかもしれないし、窮屈な思いもしたかもしれないが、大富豪には違いない。
古代エジプト、プトレマイオス朝のファラオ(女王)クレオパトラ7世フィロパトル。その立場からして豪華絢爛そのものであるが、彼女の生きざまを見ると『必死さ』が所々に垣間見え、苦労の連続だったという事実が浮き彫りになっている。
紀元前4世紀のマケドニア王アレクサンドロス3世(アレクサンダー大王)の生涯を描く伝記映画。当時のギリシア人が考える世界の主要部(ギリシア、メソポタミア、エジプト、ペルシア、インド)のほとんどを一つにつないだ若き『世界征服者』であり、歴史上において最も成功した軍事指揮官であると広く考えられている。
史上初めて中華を統一した始皇帝が暗殺未遂にあう映画。彼は暴力を使って力づくで支配したため、中央集権国家づくりの貢献は大きいが、滅亡も早く、『膨張と成長の違い』も考えさせられる一生を送った。
チンギスハンは、大小様々な集団に分かれてお互いに抗争していたモンゴルの遊牧民諸部族を一代で統一し、中国・中央アジア・イラン・東ヨーロッパなどを次々に征服し、最終的には当時の世界人口の半数以上を統治するに到る人類史上最大規模の世界帝国であるモンゴル帝国の基盤を築き上げた。
ビジネスパーソン
実在の大富豪、実業家であるハワード・ヒューズの波乱に富んだ半生を描いた。20世紀を代表する億万長者として知られ、「資本主義の権化」「地球上の富の半分を持つ男」と評された。
1973年に、当時フォーチュン誌から”世界一の大富豪”に認定されたゲティオイル社社長のジャン・ポール・ゲティの孫が誘拐された実話をフィクションを織り交ぜて描く。
1984年のロサンゼルスオリンピックのレスリングで金メダルを獲得したマーク・シュルツと、デュポン財閥の御曹司であるジョン・デュポン自ら率いるレスリングチーム結成プロジェクトの「フォックスキャッチャー」についての真実が描かれる。
ジョーダン・ベルフォートの回想録『ウォール街狂乱日記 – 「狼」と呼ばれた私のヤバすぎる人生』(The Wolf of Wall Street)を原作として描かれる。日本公開版ポスターのキャッチコピーは「貯金ゼロから年収49億円 ヤバすぎる人生へ、ようこそ。
Apple者の創業者であるスティーブジョブズの伝記映画。アシュトンカッチャーの方は全体図が見え、マイケルファスベンダーの方は知られざる一面が見られる。ビルゲイツとやりあった『バトルオブシリコンバレー』というテレビ映画もある。
2009年に出版されたベン・メズリックの著書『facebook 世界最大のSNSでビル・ゲイツに迫る男』を映画化したもので、創業者のマーク・ザッカーバーグがソーシャル・ネットワーキング・サイト「Facebook」を設立させる様子、更にそれに伴う訴訟を描いている。
イギリス出身の映画俳優、映画監督、脚本家、映画プロデューサー、作曲家であり、サイレント映画時代の王チャーリー・チャップリンの生涯を描いた伝記映画。チャップリンの死後、金銭目的で遺体を誘拐した2人の犯行の実話をもとにした『チャップリンからの贈りもの』という映画もある。
1983年11月に発生した、世界的なビール製造会社「ハイネケン」の経営者でオランダ屈指の大富豪フレディ・ハイネケンが誘拐された事件を題材としており、誘拐した者と誘拐された者の両者の視点から実話の真実に迫る内容となっている。
この映画のモデルであるバーナード・ローレンス・マドフとは、アメリカ合衆国の実業家、元NASDAQ会長。史上最大級の巨額詐欺事件の犯人として知られる。
アウトロー
アメリカ合衆国において自身の組織した麻薬カルテルによるコカインの取引を独占し、その過程で、死ぬまでに推定300億ドル(2021年の時点で640億ドルに相当)もの純資産を蓄えた、史上最も裕福な犯罪者とみなされている。
ハーレムの名物男で知られた”バンピー”ジョンソンの運転手だったフランク・ルーカスが、彼の力を借りて麻薬界の大物に成り上がる。警察にまで汚染が広がる当時のニューヨークで彼を挙げようとする人はなかなかいなかったが、勇気ある正義の男が数人立ち上がった。
1940年代末のアメリカ、ロサンゼルス。街はミッキー・コーエン率いる巨大ギャングによって支配され、あらゆる犯罪が横行し、頼みの警察もある者はコーエンの配下の汚職警官、ある者はコーエンを恐れて取り締まりをしない、といった状況であった。ここまでの3作は非常に内容が似ていて、結果的にやはり『正義の警官』たちが立ち上がってマフィアを潰す動きを見せる。なぜ同じ動きになるのか。興味深い話だ。
禁酒法時代のアメリカ・シカゴを舞台に、正義のためにギャングのボスであるアル・カポネを逮捕しようとするアメリカ合衆国財務省捜査官たちのチーム「アンタッチャブル」の戦いの日々を描いた実録映画。実話だからすごい。
映画になるようなマフィアは往々にして武器や麻薬、人身売買等に手を染め、莫大な利益を得ている。そのうちフランク・コステロという人物はコーサ・ノストラのボスであり、冷静沈着で暴力を好まず政治力を駆使して「暗黒街の首相」と呼ばれた。マーロン・ブランドは、コルレオーネの役作りのためにコステロの音声テープを聞き、そのしゃがれ声を真似したと言われている。
この映画でジャックニコルソンが演じる男が『フランク・コステロ』という。マフィア最高幹部会コミッションの議長であり、FBIのジョン・エドガー・フーヴァー長官やニューヨークのウィリアム・オドワイヤー市長など政界・司法界の大物と付き合いがあった、アウトロー界の大物だった。
良くも悪くも、とにかくどういう人がお金持ちになっているかを見て、為にならないことはありません。パッと見るとやはり『ズル、強引、卑怯、裏技』というような正攻法ではないイメージが頭に浮かびます。アウトローたちなどはもうそうですよね。しかし、女王ほどの身分にいても、奴隷ビジネスをして人身売買しているなら、それはもうこのアウトローたちと同じことです。アウトは外、ローは法律。法の網を破ってでも大きな利益を狙って『義』をないがしろにする人のことを『拝金主義者』と言いますが、戦争で武器を売って財を得た大企業もまた、あまりいい印象とは言えません。
現在、奴隷ビジネスなどをやれば法律違反に該当します。時代は違えど、例えば『子供の頭を撫でる』行為は、1万年さかのぼっても何も悪くない行為だし、未来永劫違反にはならないでしょう。その中で、『今は違反だけど、当時は違った』というギリギリの行為で利益を得た人は、果たして本当に成功者と言えるのかどうか、疑問です。しかし、それを踏まえたうえで考えると、ビジネスのヒントが得られるような気がしてきますね。
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前述したように、実在の大富豪、実業家であるハワード・ヒューズの波乱に富んだ半生を描いた。彼は16歳で父から譲り受けた莫大な遺産を元手に商売を始めて成功するが、やはり最初がそうだからなのか、彼の手がけた飛行機や映画は、どこか趣味の領域に見えてしまうところがある。
前述したように、”世界一の大富豪”に認定されたゲティオイル社社長のジャン・ポール・ゲティについて描かれる。彼は一代でそこまで成り上がったこともあり、財産を人生の一部として考えているところがあった。ゆえに、それが執着に代わり、大切なものを見失っていく様子が描かれる。
前述したように、史上最も裕福な犯罪者とみなされたパブロ・エスコバルだが、『俺たちに明日はない』で有名なボニーとクライドが実際に乗車していた車を所有していたり、様々な娯楽道楽にお金を使っていた。
前述したように、ジョーダンベルフォートの伝記映画だが、大成功したことをいいことに、会社にストリッパーを大勢呼んで不純異性交遊を頻発させたり、盛大なホームパーティを開けばドラッグの乱用、飛行機のファーストクラスでもやりたい放題と、税の限りを尽くした。
バットマンの正体であるブルースウェインは大富豪なわけだが、彼のバットマン活動は金持ちの道楽と取る人もいるだろう。また、この映画でジョーカーが大金を燃やすシーンがあるのだが、また少し意味が違うが、それはそれで金持ちにしかできないことであり、エゴを満たす浪費的な意味で考えると該当することになる。
幼いころに父であるクロフト卿を亡くしたララ・クロフトは世界各国の遺跡から宝物を発掘する一流のトレジャーハンターとなっていたわけだが、これも金持ちの道楽と言えばそうなる。
前述したようにデュポン財閥の御曹司であるジョン・デュポン自ら率いるレスリングチーム結成プロジェクトの「フォックスキャッチャー」についての真実が描かれる。こうして客観視すると、やはりどうしても道楽感が漂う。
特に両親や先祖の遺産を受け継いで富豪になっている人からは、道楽感が漂いますね。日本でもカジノで100億円すった人もいますし、宮崎駿の息子である吾郎氏からもその印象があることは否めません。私はファンですから悪くは言いませんが、宮崎駿は圧倒的な『基礎』を積んでいますからね。その部分をないがしろにして建てた城など、砂上の楼閣。見た目が派手なだけで、基礎ある人にはかないません。ここに挙げたすべての人が『成金、遺産相続人、アウトロー』ですから、膨張路線に走りがちになるのは当然。『膨張』は弾けるのが相場であり、『成長』とは一線を画すものです。まあ、私でも浪費してしまうでしょうけどね。お金の扱いはそう簡単なことではありません。
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モーグルでオリンピック出場を嘱望される選手だったモリーブルームが、アクシデントによってその道を挫折し、非合法ポーカークラブの運営をするようになった様子が描かれる。彼女はそこで映画スターのプレイヤーXを筆頭に多くのセレブを接客し、成り上がった。
18世紀初頭のイングランドを舞台にアン女王の寵愛を奪い合う女性2人のしたたかな攻防を描いた宮廷ドラマで、成金とは違うが、奴隷的な立場から一転して女王に仕える立場まで成り上がった女性と考えると、アビゲイル・メイシャムはここに該当する。
有名ポルノ雑誌『ハスラー』の創業者であるラリーフリントの伝記映画。フリントのケンタッキー州での貧しい生い立ちから、合衆国最高裁判所のハスラー・マガジン対ファルウェル事件に基づく、ジェリー・ファルエル牧師との法廷闘争までを網羅している。
イギリスのロックバンド・クイーンのボーカルだったフレディ・マーキュリーに焦点を当て、1970年のクイーン結成から1985年のライヴエイド出演までを描いた伝記映画。成金とはまた様子が違うかもしれないが、歌手は往々にして一代で地位、名誉、財産を得られる傾向がある。
無名のローカル・バンドからイギリスを代表するヘヴィメタル・バンド「ジューダス・プリースト」に加入したティム・オーウェンズのサクセス・ストーリーというのが基礎になっている。これも上記同様、一発当てて成金となり、その知名度と金の使い道で自堕落な生活を送ってしまう様子が描かれる。
『君の瞳に恋してる』等で有名な、フランキー・ヴァリがリードボーカルのフォー・シーズンズの経歴を基にした『ジャージー・ボーイズ』の映画。この場合は上記作品と少し様子が違って、ドラッグやSEXに溺れ狂った描写はない。
1955年から1980年にかけてのニューヨーク・マフィア界で生きた、ヘンリー・ヒルという実在の男を題材とした作品。彼は11歳でブルックリンのタクシー配車センターでマフィアの使い走りとなり、やがて闇煙草の密売や、偽造クレジットカードの使用などを皮切りに、トラックの荷物強奪や違法賭博・ノミ行為・八百長試合の設定といった犯罪に手を広げていく。
実在の女優エリザベート・ベルクナーをモデルとした、メアリー・オアの1946年の短編小説を原作としている。イヴという女性が爪を隠して成り上がっていく様子が描かれる。
インド南部の大都市・ムンバイを舞台に、実在の人気テレビクイズ番組『コウン・バネーガー・カロールパティ』に出場したスラム育ちの青年が不正を疑われて潔白を主張する様子を通じ、インド社会の現実を描く。
2000年問題による機械の誤作動騒動を狙って、実に80億ドルもの金額を強奪しようという華麗な強盗劇が展開される。私の知る限り、この8500億円近い悪事の報酬額は、映画史上最大である。
『マネーショート』で27億ドルの利益を会社にもたらせた人物が描かれますから、悪事ではないパターンとしては相当な額と言えます。ただ、スティーブジョブズやマークザッカーバーグ、レイクロック等の起業家が活躍する映画の背景を考えると、その売り上げや企業価値などはそれらを軽く超える価格にまで跳ね上がっていますから、扱われる規模で考えるとそこにはかないません。
冒頭に転落の話をしましたが、ここに挙げた映画の中では『ウルフ・オブ・ウォールストリート』くらいがそこに該当すると言えます。ドラッグに溺れたアーティストたちも該当するでしょうか。『ラチェット効果』とは、一度上がってしまった生活水準に依存し、収入と釣り合わない生活をしてしまう人間心理ですが、ある宝くじで一億円当てた人が、それで男の欲望の9割を果たしたのはいいのですが、すぐに資金は枯渇してしまい、ラチェット効果によってその後の生活が逆に破綻してしまったというケースがありました。
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前述したように、事業の失敗によりホームレスになるまで落ちぶれたが、最終的には成功を掴んだ実在の男性、クリス・ガードナーの半生を描いた作品である。自分の最愛の子供のために、絶対に成功するしかなかった。
とあるインディアンの家族が生活に追い込まれていた。父親は甲斐性なしと妻に見下され、それでも彼は、父親としての責任を感じる強さを持つ男だった。そして彼は決断した。したからこそ息子に、男同士の話をした。そして彼は向かった。その謎の会社は、問題解決と同時に大きな代償を求める、闇の会社だった。
お金が必要で仕方ない。そういう人に『トイチ』で貸すなんて、末端である。『トゴ』、『トジュー』で貸すのだ。10日で10割、1万円貸したら、10日後には2万円で返す必要がある。それくらい追い込まれた人間の心理とはいったいどのようなものなのか。
上記作品と同じ漫画家が書く世界観。彼もまた同じようにお金がなかった。この漫画かは、悪循環と分かっているのにお金を借りてしまう人間の気持ちを熟知している。
両親がいない。だが幼い弟と妹がいる。自分は17歳の少女だ。生きていかなければならない。では、何をすればいいか。よぎるのは恐ろしい発想だが、彼女は軍隊に志願するような道を選ぶ女性だった。だが、思い通りにはいかないのが人生。彼女たちの運命はいかに。
大恐慌時代に活躍した、映画のタイトルとなったあだ名の実在のプロボクサー、ジェームス・J・ブラドックの大番狂わせの試合を描いた伝記映画。だがそれで言うと『俺たちに明日はない』を筆頭としたこの時代の強盗たちは、皆似たような環境を強いられていた。
アメリカの医療制度、保険制度の問題を風刺したヒューマンドラマ。つまりアメリカでは、自己破産の原因の第一位が医療費の未払いである。彼の息子が今回、手術を必要としている。しないなら死ぬかもしれない。一刻も早い心臓移植手術が必要だ。だが、お金がないなら手術できない。それでいいのか。
B級にも近い単なる強盗事件の話だが、デニーロが端役として固めていたり、根幹にあるテーマが普遍的かつ訴求的であり、中々見ごたえがある。彼はなぜ強盗をしなければならなかったのか。
実際に起きた米国政府に対する詐欺事件についてまとめた、武器商人で後に作家に転向したエフレム・ディベロリの回想録とローリング・ストーン誌に掲載されたガイ・ローソンの記事が原作となっている。
広大なアメリカのどこよりも強盗が多発する街、ボストンのとあるこの街では、強盗を親から子へと家業のように引き継がれてゆくという異常状態が続いていた。負の連鎖である。それゆえ、終始銀行強盗が軸になる話だが、とある男女のやり取りに、注目すべきポイントがある。
『そろそろ家族のために真剣に生きていきたい』と思い始めた青年が、新しい人生のために元手を集めようとする。だがその選んだ『楽』な選択肢のツケは大きかった。そして後半、この映画の主人公は変わっていく。
サヴァン症候群で抜群の記憶力と弁護士として優れた才覚があったものの、真面目で融通が利かない性格のため法廷に立たず、裏方である法律アドバイザーとして働いていた男。彼は不器用でもある。ゆえに、お金が必要だった。そして手を出してしまったのだ。
お金が必要なのは皆同じです。ですから、そのために時に人は、大きく道を踏み外してしまいます。私も拝金的に生きた時代があるのでわかりますが、極端で完璧主義でもあった私は、ある日社長夫人でもあった祖母に『なぜ働くのか』と問うと、『そんなの働かないといけないに決まってるじゃん』と、嘲笑された。だが、我々はまるで会話できていませんでした。
フランスの哲学者、ルソーが書いた著書『人間不平等起源論』の文中にはこうあります。
「人間が一人でできる仕事(中略)に専念しているかぎり、人間の本性によって可能なかぎり自由で、健康で、善良で、幸福に生き、(中略)。しかし、一人の人間がほかの人間の助けを必要とし、たった一人のために二人分の蓄えをもつことが有益だと気がつくとすぐに、平等は消え去り、私有が導入され、労働が必要となり、(中略)奴隷状態と悲惨とが芽ばえ、成長するのが見られたのであった」
マリーアントワネットが映画『マリーアントワネット』でこうしたルソーの考え方に触発され、宮殿の庭に小さな世界を作ってそこで自由に暮らすシーンが展開されますが、浮世離れしていた彼女はともかく、とにかくこれは、マルクスが言ったように『仕事というのは、それを提供する資本家と、それを受けるプロレタリアート(労働者)に分かれるのであり、そうなると人類に格差が起き、平等性がなくなる』という考え方と同じ的を射ています。
隷属状態。それはつまり、『お金が必要なんだ!どうしても必要なんだ!仕事を下さい!・・どんな仕事でもやります。・・やるしかないんだ・・』ということ。こうした強迫観念が人間の人生を蝕み、人を落とし穴に次々とはめていくのです。お金は、人間が生み出したものです。仕事も、人間が生み出したものです。その、人間が自由に、便利に生きていくために生み出したものに支配されて生きていく人が、後を絶ちません。そしてそのために悪事に手を染めたり、体を売ったり、追い込まれて命を絶つ人も大勢います。本末転倒なのです。
彼らのような人生を見ていると、そういう気持ちが一つ浮かび上がってくるのが事実です。
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その話をするなら、この人物を避けて通ることなどできない。プロレタリアートという言葉は、カール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスが『共産党宣言』で使った例によって広く普及した。彼らこそが『共産主義』の概念の生みの親であり、最も現実世界に影響を与えた哲学者が、マルクスである。
目を覆いたくなるような地獄の蟹工船内部から物語が始まる。当時の蟹工船はある種の無法地帯であり、貧困層から募集した出稼ぎ労働者に対する資本側の非人道的酷使がまかり通っていた。『おい、金稼ぐんだろ?だったらこの条件でやれよ』ということだ。だが、彼らは立ち上がることを決意するのだ。
海洋サルベージの専門家だった男がある日突然、11年間勤めた会社を解雇される。それまで仕事一途で家庭を顧みなかった彼は妻と息子にも去られ、途方に暮れる。すべてを取り返そうとして、一発逆転の計画を思いつく。だがそもそも、彼らにこうさせたのは一体何だったのだろうか。
オックスフォード大学に実在する上流階級の子弟限定の社交クラブ「ブリンドン・クラブ」をモデルにしている。2万人いる学生の中からたった10名しか入れないこのエリート集団はまさに、『それ以外の存在』を下級と見下す、傲岸不遜な連中の集まりだった。
21世紀末の世界大戦により人類は大量の化学兵器を使用した。その結果地上の大半は居住不可能となり富裕層はヨーロッパを中心としたブリテン連邦に住み、貧困層は反対側のオーストラリアを中心としたコロニーに居住する事になり、コロニーの住民はブリテン連邦労働力の為にザ・フォールと呼ばれる巨大なエレベーター (重力列車) に乗りブリテン連邦に通勤し働いていた。
2154年、超富裕層は、大気汚染や人口爆発により生活環境が悪化した地球から離れて、衛星軌道上に建造されたスペースコロニー「エリジウム」で暮らしている。エリジウムでは、高度な科学技術によって市民は傷病から解放され、水と緑にあふれた理想郷での暮らしを享受でき、それは地球上で暮らす貧しい人々の憧れとなっていた。一方、荒廃してスラム化した地上ではどうか。
2031年。世界は地球温暖化を食い止めるべく散布された化学薬品によってすべての陸地が雪と氷に覆われ、極寒に耐えられない生物は死に絶えてしまった。生き残ったわずかな人類は永久機関によって動き続ける列車「スノーピアサー」の内部にて暮らしていたが、そこでは前方車両に住む富裕層がすべてを支配し、最後尾に住む貧困層は赤子すら共食いの対象にせざるを得ないという悲惨な扱いを受けていた。
私が祖母に話をしたのはこういう根幹的な話です。これについては、ダライラマ14世や宮崎駿も、『マルクス主義』として賛成していること。彼らも私も、過激なテロ行為や冷戦といった類を肯定するとか、応援、推奨するというバカげた考えを持っているわけではありません。ただ単に、『人間に格差ができるのは正しいのか』という話をしているだけ。大きな力を持ってしまった大金持ちは、何代にも渡って優位な立場を守り続け、そこで生まれた子孫は他の人々と全く違う環境で人生を生きます。
かたや、『アメリカンギャングスター』のフランクルーカスのように、物心がついたら兄弟の口の中に警察がショットガンを突っ込んでいるような環境で生まれた人もいます。ブラジルのファベーラで生きる運命を背負った子供たちは、生きる為に盗むしかない。また、手塚治虫の『ブッダ』の中でも、2500年前の貧困の時代、物を盗んで大人に袋叩きに遭う子供の姿が描かれます。こんな世の中でいいのか。為政者はどうするべきか。
私は政治の話は嫌いですが、しかし私の話の根幹には、政治が世に生まれた理由と同じものがあるのかもしれません。