ポスター画像出典:『ヤフー映画』
ドウェイン・ジョンソンは体当たり演技をするからB級映画にも多く出演している。観ている側は、(今回のドウェインは外れ枠か・・)と思った人も多いはずだ。だがそれは、実は演じている側には関係ないことなのである。要は、『稼げる』のだ。彼は2020年、推定年収約93億円(8750万ドル)で「世界で最も稼いだ俳優」に2年連続1位にランクインした。
例えばニコラスケイジの低迷ぶりは有名だが、借金返済に苦慮していることから、仕事を選ばずに多くの映画に出演した。数年掛けて46本もの映画に出演したことが功を奏し、現在は全ての借金を完済済みであるという。
つまり、役者側からすれば『作品を選ばずに出演すれば稼げる』という事実が存在しているのである。それゆえ、ニコラスケイジの場合は妙な映画にたくさん出てしまっていることから、『いつも通りのニコラスケイジのはずなのに、なぜか面白くなくなってしまった』という奇妙な印象に包まれてしまうことになっている。
私が彼を過去と見比べてみても、別に変らない彼である。だが、とにかくシナリオが悪い作品に出てしまっているのだ。それゆえ、『彼が堕ちた』という印象になってしまっている。
ドウェインジョンソンの場合は、ホームレスの時代があった。700円しか手元になく、四苦八苦していた。それゆえ、ニコラスケイジ同様にお金の為なら手段を択ばないところがある。それは彼らだけではない。人間なら誰もが、いや、生きる生命なら誰もが、生命を維持するためにどんなことでもやるものだ。
また、持ち前の体力がある。それゆえ、『体当たり』という表現をしている。ニコラスとは違い、プロレスで成功してからは金に困っているわけではないだろうが、どれだけ映画に出ても『疲れない』とか、そういうマイナス面を抱えない体力があるのかもしれない。
彼が「世界で最も稼いだ俳優」の割には、大ヒット映画は『ワイルド・スピードシリーズ』以外に頭に浮かばない感じがあるのも、このような背景が存在する、のかもしれない。
では、今回はどうか。中々危ないところである。一歩間違えればB級だ。だが、今回の場合はそうはならなかったようだ。彼もそうやって力づくでキャリアをつけていっているのか、どんどん役者としての存在感が出ている。例えば『超人ヘラクレス』や『ロンググッドバイ』のシュワちゃんのように、ただのでくの坊マッチョとしてそこに投げ出されている感じではなく、きちんと役者として動いているのが見える。
髪形と見てくれが同じだから、様々な役をやるのが難しいという大きなハンデを抱えているが、そのハンデも力づくで乗り越え始めている印象だ。今回の場合は、チープなシナリオに見えて、きちんと教訓もあり、笑えて気軽に観ている人も、真剣に観ている人も、両者を楽しませることができる映画となっているだろう。