『恋に落ちて』
ポスター画像出典:『ヤフー映画』
「純粋な」不倫の恋を描いた作品と言うが、『マディソン郡の橋』でも何でも、不倫は不倫だ。そう考える人は大勢いるだろう。到底受け入れることはできない。私も当然のようにそう考える人間だった。
性格がハッキリしていることもある。私の場合『好きじゃないのに年齢や環境のせいで何となく付き合ったり結婚しない』という特徴を持っているので、不倫するくらいなら別れた方がいいと考えるわけである。何にせよ、映画で美談にして美化などできない。してはならないという正義感が背徳感や恋愛の美しさよりも強く輝くので、私はその光に従ってそう考えてきたわけだ。
だが、フランスとベルギーの映画合作映画で『世界でいちばん不運で幸せな私』というものがある。これもさしずめ、その不純な恋愛の話なのだが、どうもこれは今まで観た不倫映画と一線を画し、私はこの映画で描かれる二人の不倫なら、何も言えないかもしれないと、悟ったのだった。
それに面白いことに、一度その映画で『純粋な不倫』の根幹にあるものを観た後は、(もしかしたらすべての純粋な不倫の根幹にあるものも、同じなのかもしれない)と許容範囲が広がったのである。
今回の映画も同じだ。ある時、恋に出逢った。いや、恋に落ちてしまったのだ。もうそれは、止めることはできない。人生はたったの一度なのだから。