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『鉄道員』 レビュー(感想)と考察

『鉄道員』

ポスター画像出典:『ヤフー映画

 

 
 
『ぽっぽや』というこの役職は、高倉健が相応しい。不器用で、仕事熱心で、責任感と正義感の強い古風な男。それは高倉健以外には想像ができない。華もなければならない。地味でそういう俳優は大勢いるが、華もあるとなると、一気に数が少なくなる。

 

確かにこのような男は時代遅れになるかもしれない。だが、往々にして『時代』というのは単なる一時代を切り取っただけにすぎず、例えば『Z世代』と呼ばれる2022年を生きる若い女性は、『Y2Kファッション』に夢中になったりする。『Y2Kファッション』とは、今から約20年前の2000年頃に流行したファッションの事。Y2Kとは「Year 2000」の略だ。

 

また、ある黒人youtuberが日本の尾崎紀世彦の歌を聴き、『こういう本物の歌をまた聴きたい』と言った。現在はヒットさせることに夢中になり、コモディティ化しているということを言いたいのである。『この人は本当に歌が好きで歌っている』と続ける彼。それはきっと、高倉健のような古風な男の演技にもにじみ出ているものだ。そう考えると彼のように媚びない男とは、時代の枠に収まらない、自由で誇り高い、生きざまなのかもしれない。

 

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