ポスター画像出典:『Amazon』
ショーン・ペンが監督で、シャーリーズセロンやジャンレノ等の名優が揃うから期待してしまうが、あまり期待はし過ぎない方がいいだろう。映画にはこのように、『俳優が監督やってみた』パターンもあるから、全部が全部面白かったり教訓性が高いものばかりではないのだ。未熟だったり、詰めが甘かったり、テスト作品だったり、一方的だったり、視野が狭かったりする。
例えば宮崎駿の息子、宮崎吾郎が『ゲド戦記』でデビューした時、駿は『まだ早い』と止めたらしいが、それを制止して公開に乗り出たという。だが、結果は散々たるものだった。駿も密着スタッフに少し怒り気味で、『あれが結果ですよ』とため息交じり。吾郎の中では、『いける』と思ったのだろう。絵柄や音楽に『ジブリっぽさ』がこれでもかと詰め込まれていて、いかにもジブリのヒット作になるっぽい印象をまとっている。だが、真のジブリファンはあの映画に虚無を覚えたと口をそろえる。
彼の場合、あの後に『コクリコ坂から』を出して、少しはまともになる。その後、『私は宮崎駿にはなれない』と言っているが、そうして視野が広がって現実を直視した後は、等身大のいい作品が生まれやすくなる。今回の作品も、それに似た未熟さがあるだろう。彼の作品はこれで6つ目だが、過去作も赤字ばかりで、私も知らないような作品だった。