ポスター画像出典:『公式サイト』
1992年にあった『ロサンゼルス暴動』の実態を見ることができるので、それは資料として貴重だ。酷評されたようだが時間も90分だしあまりハードルを上げ過ぎなければ資料としては価値がある。
映画としては微妙だ。例えば、『15時17分、パリ行き』も同じくらいの時間だが、事件のシーンは最後にほんのわずかしか流れない。それはそうだ。事件の時間というものは普通短い。テロ行為などになると3分以内で終わるものがほとんどだ。
そのような事件を映画化するとなると、やり方次第ではドキュメンタリー映画とか資料になってしまう。それを映画レベルにまで引き上げるには、まあ、映画が『引きあがった場所』にあるかどうかはさておき、映画というエンターテインメントに仕立て上げるには、やはり事件以外のところで組み立てるシナリオと演出が必要である。
『パリ行き』が面白かったのは、その事件のシーンをクライマックスに持ってきたところで、そうした事件に偶然直面したとき、どれだけの人がとっさに行動できるか、そしてそうしてとっさに行動する人とは、普段何を考えて生きているか、幼少のころから遡って何があったのか。というところにスポットライトを当てて、主人公の青年たちに感情移入させたからだった。