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『ボビー・フィッシャーを探して』 レビュー(感想)と考察

『ボビー・フィッシャーを探して』

ポスター画像出典:『ヤフー映画

 

 

実在のチェスプレイヤーであるジョシュ・ウェイツキンの少年時代を描いている。彼は16歳でインターナショナル・マスター(IM)となった。彼は中国拳法家でもあり、2004年台湾で行われた太極拳推手世界大会にて優勝している。1970年代に、米国人として初めてチェスの世界チャンピオンになった伝説的な天才ボビー・フィッシャーが失踪した後の話だ。

 

実話だから見応えがあるが、実話だから大問題は起きず、あまり激しい展開はない。『ボビー・フィッシャー』という名前を使わないとかなり地味な作品になってしまう。つまり、彼とボビーとでは雲泥の差があるということがここからわかる。彼も十分な神童だ。だが、ボビーフィッシャーというのはその更に上を行く神童であるということが『チェスの神童を描いたこの映画』から分かるのだ。

 

切り取った場面が『子供時代だけ』ということも当然ある。だが、タイトルから連想するような『チェスの神童がボビーフィッシャーを探しあてて、対局し、負かす』という最高のシナリオにハードルが上がってしまっているので、専門家たちが絶賛するほど、一般の鑑賞者はあまり大きく心を揺さぶられることはないだろう。もちろん家族における人間ドラマは見ものだ。だが、ボビーフィッシャーという名前が大きすぎるのである。