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『カリートの道』 レビュー(感想)と考察

『カリートの道』

ポスター画像出典:『ヤフー映画

 

 

原題“Carlito’s Way”はフランク・シナトラの「マイ・ウェイ」にちなんでつけられたが、劇中に「マイ・ウェイ」は一回も使われていない。1990年の映画『グッドフェローズ』でも、当初はフランク・シナトラのバージョンが使用される予定だったが、シナトラに断られたためシド・ヴィシャスのバージョンが代わりに使われた。

 

この『マイ・ウェイ』は人の心を掴む名曲で、一度聴いたら忘れないインパクトを持っている。だがそれは同時に、世界中の様々な多様性を正当化するために『援用』されるリスクがあることを意味している。

 

シナトラがマフィア映画の主題歌に使われるのが嫌だったかどうかは分からないが、『自分の道』というのは、要はマフィアやヤクザでも言える言葉なわけだ。

 

『これが自分が決めた道だ!俺はその為に生き、死ぬと決めている!』

 

と叫べば、それが正当化されてしまう。銃を乱射する事件が海外では頻発しているが、ある時は『派手に終わらせてやるよ!』とメモを書き残し、本当に銃を乱射して無実の人を大勢殺した後、自殺した者もいる。そんな時、『これが俺のマイウェイだ!』と言われでもしたら、シナトラももちろん、激昂するだろう。

 

だが今回のカリートのように、劇中で使われないならマシだ。決して公に認められないし、未来永劫非公式で、非常識な人生。だが、人には人の分だけ生きた環境があり、事情がある。

 

その道を歩くことしかできなかった、すぐに世を去る運命を背負った若い命もある。

 

この映画は、アル・パチーノとショーン・ペンという実力派の名優が繰り広げる、儚く、脆い、哀愁の男の物語である。アルパチーノはもちろんのこと、ショーン・ペンの引っ掻き回しがすごい。こういう役を見事に演じ切る人がいる場合、往々にしてその作品は名作になる。

 

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