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『ブラック・ダリア』 レビュー(感想)と考察

『ブラック・ダリア』

ポスター画像出典:『ヤフー映画

 

 

タイトルが格好いい。1947年にロサンゼルスで実際に起きた猟奇殺人事件「ブラック・ダリア事件」を題材としていて、実話というところもいい。また、スカヨハやジョシュハートネットなどキャストが豪華なども凄い。だが、それらが凄いから期待値が上がり過ぎて、内容がついてきていない映画だと言えるだろう。

 

元々はデヴィッド・フィンチャーが監督するはずの企画だったようで、フィンチャーはこの後、当作品のテーマと同じく、別のある未解決事件を描いた『ゾディアック』を手掛けている。

 

彼がこの映画を作ったらどうなっていたかが気になる。私のように何の差別もしない人間が、彼の映画をすべて面白いと思ったのだ。えこひきいなど一切していないのに、面白いと思った映画を後で調べたら、彼の名前が出た。そして先日『ゲーム』を観た時に改めて彼の監督した映画を観たら、もうそのすべてが面白いという事実に気づいた。

 

エイリアン3 Alien³(1992年)
セブン Seven(1995年)
ゲーム The Game(1997年)
ファイト・クラブ Fight Club(1999年)
パニック・ルーム Panic Room(2002年)
ゾディアック Zodiac(2007年)
ベンジャミン・バトン 数奇な人生 The Curious Case of Benjamin Button(2008年)
ソーシャル・ネットワーク The Social Network(2010年)
ドラゴン・タトゥーの女 The Girl with the Dragon Tattoo(2011年)
ゴーン・ガール Gone Girl(2014年)

 

キューブリック映画ですらそういうことはない。彼の後年はすべて最高だが、昔過ぎて私が追いつかないところもある。

 

彼はどうも完全主義者として知られており、ひとつのシーンの撮影のために、俳優に100回以上のリテイクを出すことも珍しくないという。私も完璧主義者なので、そこにシンパシーを感じたということかもしれない。もし彼がメガホンを取っていたなら、恐らくジョシュハートネットはもっともっと、『巻き込まれていく』感じになるのではないだろうか。スカヨハはもっと魔性の女になり、アーロンエッカートは『ダークナイト』のトゥーフェイス以上に狂気があるように描かれる。

 

ジョシュハートネットは大ヒット映画があまりなく、まだまだ超一流とは言えない俳優なので、その非凡性を潰すためにも、『ブラック・ダリア事件』という謎の闇にもっともっと飲まれて、人格を失っていくように描けば、彼のデメリットが消える。残りの二人も、もっと今回以上にできるだろうから、デヴィッド・フィンチャーであればもっと輪郭をハッキリさせ、ミステリアスな部分にもっとスポットライトを当てて、この事件をもっと有名にすることができたはずだ。

 

だが、今回の監督のブライアン・デ・パルマも凄い。

『キャリー』
『スカーフェイス』
『アンタッチャブル』
『カジュアリティーズ』
『カリートの道』
『ミッション:インポッシブル』

 

と、名作が揃う。だが、フィンチャーのようにすべてが面白いわけではないので、その辺りのマッチ度が今回に影響したか。