『ファイヤーウォール』
ポスター画像出典:『ヤフー映画』
インターネットの歴史を考えてみよう。
検索エンジンの必要性の高まりと乱立と競争が起き、2000年代には企業がインターネット上の枠組みを活用して、本格的に商業的サービスを提供するようになる。
この映画は2006年の映画だ。
2000年代には、電子メールやウェブサイトなどに慣れた人々が多数派となり、ほとんどの国で、インターネットは一種の「社会インフラ」のひとつともなった。さらに2010年代にはスマートフォン(スマホ)の爆発的な普及を見せる。
この映画は2006年の映画。またスマホが普及される前の、インターネット黎明期に近い時代のもの。すでにFacebookは2004年に作られていたし、SNSもいくつかはあった。youtubeが産声を上げ始めたのもこのあたりだ。
だが、その辺りのプラットフォームはとにかくまだ化ける前で、まだまだWebサイトのアクセスは、当然パソコンからがほとんどだった。現在は7割以上がスマホからのアクセスで、これはもう10年ほど続いている現象だが、とにかくこのように、時代が少し違うだけで世の人々の心境も行動も大きく変わってくる。
検索エンジンの世界は、かつて『SONY』と打ち込んだら一番上にアダルトサイトが来るようなぞんざいなシステムでしかなかった。この映画は2006年の映画だ。よって、まだスマホが普及される前であり、人々がようやくインターネットに慣れ始めた頃で、すなわちそれは様々な混沌が存在していたことを意味する。youtubeもインスタグラムも、最初は『あってはいけない動画・画像』のオンパレードだった。
ある種、『その何でもあり』がうけて世界中にあっという間に蔓延したといってもいい。そのうち規制が厳しくなり、現在の状況になったが、からくり的に、最初にそうして大ぶろしきを広げ、戦略的にさも途中で気づいたかのようにして規制を厳しくし、徐々にその世界に秩序を作っていったようにしか見えない。いきなり厳しくするということは、つまり門を狭くする行為に等しいわけで、そうすれば認知も低いままだし、人が集められなければビジネスは展開できない。
さて、そういう時代背景を考えた後、ようやくこの映画に向き合ってみよう。当時の人々はインターネットに対してどのような目を向けていたか。そして、そこにはどういうリスクが存在していたか。この当時だからあり得る、未知の領域に対する不安で作られた、インターネットサスペンスである。