『オリバー・ストーン オン プーチン』
ポスター画像出典:『Amazon』
映画監督オリバー・ストーンが2015年7月から2017年2月にわたってロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンにインタビューした内容を元に構成されたドキュメンタリーで書籍化もされている。それだけ貴重な内容だ。
だが、2022年にロシアがウクライナに侵攻したことで『貴重』という言葉もどこか穿って見えてしまう。ただ、それはそれで『その意向』があったという過去の資料として貴重なのは事実だ。
思い返すと常に彼が何かを含んだような発言をしていた。元々、ロシアと中国がアメリカ一強の時代にメスを入れようとする、ということは歴史の専門書でも言われていたことだった。世界史、日本史にて何度も見てきたが、世界初の帝国が誕生したアッシリアの時代から、現代にかけての世界の覇権の推移を見てみよう。
ヨーロッパの覇権の推移
そしてこの後だ。規模もヨーロッパから『世界』へと変え、まとめ方は『世界で強い勢力を持った国』とする。
17世紀のイギリス以降世界で強い勢力を持った国
アッシリアからはじまり、ペルシャ、アレキサンダー大王のマケドニア、ローマ、モンゴル帝国と、この世界を『支配』する人が後を絶たなかった。この映画でも
- クリミア併合
- シリア空爆
- ウクライナ問題
- アメリカサイバーテロ
に関して言及するプーチンの姿を見ることができる。
こうなった以上ロシア側に何も正義などないというのは世界中の誰もが思うことだ。今回のウクライナ侵攻で、罪のないウクライナ人に、特に子供や女性に、取り返しのつかないことをしたことが連日ニュースで流れたが、もうそれをしてしまえばどんな理由があっても彼らが正当化されることは未来永劫ない。
について意見するのは貴重なことだが、この時代を生きる人間には到底認められることはないだろう。だが、今の流れを見て、いずれ歴史を第三者目線で他人行儀に俯瞰視する人が見れば、違う意見を持つかもしれない。
だが、それはロシアがアメリカ一強のこの時代を覆してからだ。しかし見ている限り彼らがこの世のトップになるということは考えられない。ロシア語も浸透していない。
- テトリス
- ウォッカ
- ボルシチ
あたりのソフトだけでは世界も牽引できない。日本ですらできないんだから、世界トップの壁は高いのだ。
ただ、メンタル的な話は教訓があった。ソ連時代に共産主義の思想を本当に信じたロシア人は、ソ連崩壊後、
(じゃあ今後どうすればいいんだ)
という精神状況になった。そして自然とその心の穴埋めをする為に 『ロシア正教』が浸透し、至る所にその様子が見えるようになったという。
映画としてはオリバー・ストーンが敵のホームでかなり思い切った質問をして見応えがある。常に苦虫を嚙み潰したような表情をしていたが、今振り返ってみると彼が心で懸念していたようなことは『正解』だったのかもしれない。