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『トゥー・ラバーズ』 レビュー(感想)と考察

『トゥー・ラバーズ』

ポスター画像出典:『Amazon

 

 

 

 

ドストエフスキーの『白夜』をモチーフにしているだけあってシナリオはいいので、評論家の一定の評価もあるようだ。私はそれを今知ったが、やはりそうかというくらい、暗い。ロシア作品というのは暗い暗いと言われがちだが、本当に暗い。これだけ暗ければ、そりゃあ真逆のアメリカと対立するわな、という気配が漂う。ロシアの全部を知っているわけではないので断片的で無責任は印象に過ぎないが。

 

だが確かにホアキンフェニックスはこういう内向的で、鬱屈とした性格の役が多いので、それだけはまり役ということかもしれない。『グラディエーター』のあの役だって、内向的な役だ。内に違うものを秘めている役。

 

あのコモドゥスという人物は、『五賢帝』の最後の皇帝、マルクス・アウレリウスの息子だが、彼が死亡し、息子のコモドゥスに帝位が移った時、ローマ帝国は大きく失墜を迎えたと言われている。

 

何を考えているか表面ではわからないが、内に確実に何かを秘めているのが似合う。そして内向的がゆえ、それが往々にして歪んでいる。『ザ・マスター』で更にその演技に磨きをかけ、『her/世界でひとつの彼女』でも同じように内向的な人間を演じる。

 

マグダラのマリア』ではイエス・キリストという方向でその内に秘めた神秘性を磨き、そして2019年に『ジョーカー』という役に出会うわけだ。彼のこうしたキャリアに繋がる布石の一つとして考えるのも面白い。

 

 

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