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『クライシス』 レビュー(感想)と考察

『クライシス』

 

 

オピオイドの流行を背景に描かれる作品。オピオイドというのは私は知っていたのだが、それは2017年に出た『SLEEP』にこう書いてあったからだった。

電子機器はドーパミン製造機だ

(省略)ところが近年になり、ドーパミンは快楽と無関係であることが明らかになった。快楽の感情は、オピオイドという物質の作用がもたらす結果として生まれるという。ドーパミンは、探究という行為にのみ関係する物質だったのだ。獲物を探す、先がどうなるのかを知る、といったことをするだけで、ドーパミンは分泌される。脳波ドーパミンがじわじわ分泌される状態が大好きだ。そんな脳が、インターネットにハマらないわけがない。

 

実際には快楽を感じるのはドーパミンではなく、『オピオイド』という物質だという。したがって、私がこのあたりの事実を分かりやすく説明するときにはいつもこう話している。迷路でゴールを探しているときに出ているのがドーパミン。ゴールしたときに出ているのがオピオイド。

だがこの映画ではオピオイドを『薬の名前』だと言っている。私が知っていた物質と、ここにある薬の名前と、両者とも『報酬系物質』ということで一致しているが、まあ似たようなものだろう。『オピオイド』という名前の、オピオイドが含まれた薬のことなのだろう。

 

確かに、オピオイドそのものにドーパミンのような報酬系物質が含まれているなら、それは麻薬にも近い存在と言えるだろう。薬品やサプリメントの先進国であるアメリカで、この新しい物質・薬がどのように浸透し、また弊害をもたらしているか、見ものである。