ポスター画像出典:『フィルマークス』
主演のダニエル・デイ=ルイスというのは、アカデミー主演男優賞を3回受賞している唯一の俳優で、『マイ・レフトフット』を観ればその実力を誰もが理解することになる名優である。彼は『ダークナイト』でジョーカーを演じたヒースレジャーに対し、『チョコレート』と『ブロークバック・マウンテン』での彼の演技を称賛し、「私に役者としての復活の気持ちを与えてくれた俳優」と発言している。その映画を観れば分かるが、かなりシリアスで、厳しめに言うと『地味で暗い役』だが、どこかに『かけがえのない哀愁』があり、それが唯一無二性を醸し出している。
また、2012年4月の英Total Film誌よる「映画史に残る演技ベスト200」では『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』での演技で『カッコーの巣の上で』のジャック・ニコルソン、『レイジング・ブル』のロバート・デ・ニーロに次ぐ3位にランクイン。
2002年の『ギャング・オブ・ニューヨーク』では本来主役だったはずのレオナルド・ディカプリオを抑えてアカデミー主演男優賞にノミネートされた。ディカプリオも彼を尊敬しており、主演がデイ=ルイスになることが当然だと語っている。2007年の第80回アカデミー賞では『フィクサー』で同じく主演男優賞にノミネートされていたジョージ・クルーニーは結果発表前に「自分が主演男優賞を受賞? ダニエルがいるから無理だよ」と答えたという。
つまり何が言いたいかというと、彼は『プロから認められる、演技を理解している実力派』で、どうしてもその彼の立ち回りに期待してしまうわけである。そのハードルもあるし、私が興味がある内容でもないため、この映画がいかにマーティンスコセッシがメガホンをとっているからといってこの映画を『名作』として人に勧めることはできない。だが、
という輝かしい要素、そして、ミシェルファイファーやウィノナ・ライダーという脇を固める華の力は確かで、最後のシーンで何とも言えない哀愁を覚えることになるだろう。