ポスター画像出典:『Amazon』
など、この辺りの映画は『かつてのアルパチーノ』ではなく、『シフトチェンジされたアルパチーノ』として映画に出演していることがわかる。そっちの方が自然ではある。シュワちゃんの映画の時に書いたのだが、いつまでもスーパーヒーロー役を演じるのには無理があるから、高齢者になれば高齢者にしかできない役柄を演じるのは自然だ。逆に言うと、そういう役を演じられる若い役者はいないのだから。
だがやはり、満足度は落ちるだろう。テンポも遅いし、キレもない。スリリングでもなければ、インパクトも薄い。『ミッドナイトガイズ』は、最後に男を魅せて哀愁があるのだが、同じような作品を何個も作るわけにはいかない。
ただ、彼がすごいのは、1969年にデビューして以来、ほぼ毎年新しい映画に出ているのだ。空いたとしても2年で、ほぼ毎年映画に出ている。こういうチャレンジングな姿勢と、真面目な職人肌の性格が、彼に俳優としての威厳を保たせている。だがそれと同時に、『外れ作品』にかち合うこともあるから、B級まがいの残念作品と、我々が出会ってしまうこともあるのである。
彼は、「あなたが今まで演じてきた役の中で、どの役が一番自分に似合っていますか?」という質問に、「どの役が一番自分に似合うということはない。すべて私の一部なのだ」と語った。この言葉に、彼の俳優としてのプライドがにじみ出ているように見える。つまり今回の作品で言えば、アルパチーノが孤独なのではない。『彼が孤独』なのだ。