Contents|目次

『アバウト・シュミット』 レビュー(感想)と考察

『アバウト・シュミット』

ポスター画像出典:『Amazon

 

 

ジャックニコルソンにはもっとクレイジーな役を演じてほしいのだが、彼はもう高齢で、ショーンコネリーのようにもうすぐいなくなってしまう。2022年現在、2010年の『幸せの始まりは』以降の映画がないので、85歳の彼の寿命もわずかとなってしまっているだろう。

 

その前に『最高の人生の見つけ方』でモーガン・フリーマンと名作映画を作った。その前は『ディパーテッド』だ。私が知る限り彼の一番の映画は『カッコーの巣の上で』よりも『バットマン』よりもこれである。

 

シャイニング』、『ア・フュー・グッドメン』もいいが、私が観たい彼はディパーテッドのような彼だった。その意味で、こうして彼が高齢者の役を演じるのを見ると、残念な気分になる。それは、北野武が『アウトレイジ』でどんどん活舌が悪くなっていくのを観てしまうのに近い感覚だ。彼らのような鬼才をもっともっと観続けたい。そういう気持ちが、高齢者の彼らを受け付けないのである。

 

それがまずの第一印象だ。だからこのような普通の男の役にも、『その狂気』の影を見ながら観ることになる。私はこの映画の内容というよりは、彼がいなくなることの惜しさの方が頭の中を駆け巡ってしまう。