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『アトランティスのこころ』 レビュー(感想)と考察

『アトランティスのこころ』

ポスター画像出典:『ヤフー映画

 

 

『もしこれがなければ人間ドラマがしっかりしているのに、なぜかSF的な要素が入っている』。これは、スティーブン・キングの特徴である。『ミスト』、『IT/イット “それ”が見えたら、終わり』、『グリーンマイル』、いくつもの映画がその様相を持っている。

 

そして、なぜか面白いのだ。編み物で言えば、『網目』がしっかりと自然に組み込まれていて、違和感を覚えない。こういう風に、現実と非現実をうまく調和させるのは、簡単ではない。

 

日本で言えば、宮崎駿がその域に達しているが、弟子とも言える『借りぐらしのアリエッティ』の米林監督は、独立したての『メアリ』ではまだその芸術的な域に達していなかった。だから不自然で、表層だけジブリっぽいが、内容が追い付いていないという、吾郎監督の『ゲド戦記』等と同じレベルのものだった。『アリエッティ』や『思い出のマーニー』は大傑作だったが、ジブリを離れたとたんにああなることを考えると、宮崎駿の力が偉大なのだ。

 

 

さて、スティーブン・キングだが、彼の実力にアンソニー・ホプキンスが加わって的を外すことはない。奥行きもある。事実、第5部に分かれた長編をぎゅっとまとめたのが映画版なので、そのイメージが浮かんでくる。

 

またその『不思議な奥行き』は、この時代にあった『フーバー長官と共産主義』というキーワードと合致させることで、更に深いものになる。当時、FBIは超能力を使った調査をしているという噂があったというのだ。

 

この映画では『FBI』の実態が雲のように包み隠されているが、それが逆に『得体のしれない謎の組織』のような印象を作って、奥行きを作り出すことに成功している。

 

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