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『用心棒』 レビュー(感想)と考察

『用心棒』

 

 

黒澤映画はよく『七人の侍』が挙げられるが、同じ三船コンビならこの映画の方が分かりやすくて面白いのではないだろうか。『羅生門』『蜘蛛巣城』などもいいが、分かりやすいのはこれだ。海外の人に前者が評価されているのは、専門家なら専門的な技術のことがあるだろうが、一般の人は恐らく『字幕』があるからではないだろうか。音がモノラルで聞こえづらいし、字幕なしで観る日本人は、何を言っているんだかよく聞き取れない。結果、何をしているのかという細部が分からないし、それが3時間半も続くので、世界が絶賛するほどの驚きを得られないのが本音だ。

 

それが1954年。それから7年経ったということもあるのかどうか知らないが、『用心棒』は110分だし音は普通に聞こえるし、声も聞き取れて何をやっているかが明白なので、分かりやすくて面白い。するとやはり、『夕方時代劇のハイクオリティバージョン』のような印象を覚えることができた。これが黒澤、三船かと絶賛できる『ガチ』の時代劇は、完全にエンターテインメントだ。

 

『七人の侍』は『マグニフィセントセブン』が相当ツボで個人的に好きなドラマだから、あれを字幕で観れた世界の人がうらやましい。続編に『椿三十郎』がある。これと併せて観ていきたい。