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『彼が二度愛したS』 レビュー(感想)と考察

『彼が二度愛したS』

ポスター画像出典:『Amazon

 

ユアン・マクレガーは、あまり主演じゃない方が光るような気がしている。『ムーラン・ルージュ』や『アイランド』、『ドクタースリープ』や『ビッグフィッシュ』もそうだが、明らかに面白いのに、いまいち最高傑作とは言い切れない映画が多い。『スター・ウォーズ』の印象がどうしてもぬぐえないからなのだろうか。それらの映画は私は名作としてジャンル分けしてるし、今回の映画もそうしたのだが、うーむ、と、やはり彼の『華』について、首をかしげるところがあるのが本音だ。

 

となると、彼はもう路線変更をした方がいいかもしれない。適材適所だ。例えばヘレナ・ボナム=カーターだ。彼女は常に奇天烈な役を演じることが多いが、それがはまっているからだ。私も含めた世界の大勢が、彼女がその役にいることに何の違和感もなく、むしろ作品を盛り上げるための重要な要素として役立ってくれていて、有難いとさえ思う。

 

ヒュー・ジャックマンが設立した映画製作会社であるシード・プロダクションズの第一回製作作品ということもあり、ヒュージャックマンの使い方ももう少し磨けたように見える。彼があの位置にいるのはいいが、もっと彼の存在を悪く、面白くできたはずだ。

 

チャッピー』が良い例である。あの映画での彼の立ち位置は最高だった。彼は王道の主演路線もいけるし、華もある。振り回される役も似合うし、ウルヴァリンのような激しい男の役も演じられる。ユアンマクレガーのヒール具合はというと、『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』でのそれも中途半端だったし、すべてにおいて『普通過ぎる』という印象がぬぐえない。

 

だが、今回はその彼の普通人としての印象がピッタリハマった形だ。『アイランド』同様、結末も含めて好きな展開である。