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『君と歩く世界』 レビュー(感想)と考察

『君と歩く世界』

ポスター画像出典:『ヤフー映画

 

 

フランスの映画で、かつマリオン・コティヤールのパートナーのマティアス・スーナールツの渋さからすると、この映画に世界的な華を期待できない感覚がある。世界的な華とは例えばトム・クルーズや、パイレーツ・オブ・カリビアンのような作品の明るさがある華のことだ。

 

だが、もちろんそういう映画だけが良しとされるわけではない。そうじゃないなら、違う方向で綺麗にまとまる時もある。例えば、『さらば、わが愛/覇王別姫』には、その世界的な華はない。内容も暗い。だが、その暗いステージの中で、確実に世界に通用する花を咲かせた。そういう展開も存在する。

 

今回の場合、主人公の男がほぼ笑わない性格をしているし、生活は行き詰っている。また、ヒロインのマリオンコティヤールも、決して明るくない現実を突き付けられる。だが逆にその暗さが、『ここまで堕ちれば、もう上へ行くしかない』というある種の希望を作り上げている。

 

野心があり、力強く生きようとしているのは男である。だが、彼と共に歩く一生に花を咲かせるのは、女である。だが、その花に水をあげたのは、男である。そして、その男の活力に力を与えたのは、その花の美しさである。

 

暗い。人生には様々な苦痛が多い。だが、きっと生きていくことができる。彼らはそんな人生の支えを見つけたのだ。それは、明るく悩みのない道の上では不可能だったことだ。人生を生きていると、それ自体が『迷路』だという初歩的な設定を忘れ、どうしても行き止まりにぶつかった時に挫折する人がいる。

 

 

だが実際にはそれは迷路で、そういう時もあれば、逆に面白いほど道を進める時がある。だが、そんな人もいずれは必ず行き止まりや曲がり角にぶつかる。最初からそういうものなのだ。

 

よく辺りを見回してみると、その行き止まりに宝箱が置いてあったりする。人の場合もある。その中に入っているものや、そこにいる人と協力して先に進むと、そのおかげで面白いように道を進めるようになったりするものである。だとすると、必然だったのだ。自分が、その道を歩いたことは。

 

 

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