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『顔のない天使』 レビュー(感想)と考察

『顔のない天使』

ポスター画像出典:『ヤフー映画

 

メルギブソンが初監督をするということで、どこかに粗がある可能性を考えながら鑑賞するが、中々いい映画だった。ただ、原題は『The Man Without a Face』であり、『天使』の要素が入っていないので、邦題のマッチング率はずば抜けて高くはない。

 

確かに、彼の存在は浮世離れしていて、大きく空く時間を考えれば(あれはなんだったのか)という、おぼろげな記憶になり、しかし、確かに自分の人生にとって重大な時間だった、ということで、その時間をくれた人、のことを『天使』としているかもしれないが、私なら『師匠』の方がしっくりくる。だから例えば、そのまま『顔のない男』か、『僕の師匠は顔がない』とかいう方が近い。『失われた顔』でもいいが、とにかく『天使』だけはやめた方が良かった。

 

天使のくれた時間』というニコラスケイジの名作があるが、あの場合は本当に天使が登場するし、子供を『エンジェル』と言うのは何も不自然ではない。どちらにせよ、いい映画なのに大ヒットとはいかなかったのには、どこかに何かの理由がある。宣伝や供給などの裏事情も当然あるが、いい映画だけに、テコ入れすべきところを探してしまうのである。

 

もし『顔のない男』だけだった場合、彼が軸となって動くこの映画に何も違和感はなかったが、『天使』としてしまったことで、その人の『天使性』を探してしまい、無駄な労力を割いてしまったり、無駄に幻滅してしまうことがあるので、キャッチ―なタイトルだが、邦題は微妙と言える。

 

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