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『ラブリーボーン』 レビュー(感想)と考察

『ラブリーボーン』

ポスター画像出典:『Amazon

 

 

最初サムネが子供ファンタジーっぽかったから期待していなかったが、意外に意外。内容の芯はかなりエグイ。つまり決して子供向けじゃないが、フィクションだからこれくらいじゃないと見応えがない。後で見たら、やはり製作陣にスピルバーグが。もう彼は視聴者のニーズを確実に押さえてくれると言っていい。角度が斬新だから★3.5になっているが、その斬新さが逆にたくさん観ている私からすると、新鮮で良かった。同じような映画になるとコモディティ化(似て価値が減り埋もれる)してしまうからだ。

 

だがこの映画、実は更に奥行きがある。これだけでも見応えがあるのだが、実はそれは『おまけ』でつけている評価の一面もある。少しだけ作品には違和感があるのだ。『大名作』にあと一歩届かない妙な違和感がある。実は、原作者のアリス・シーボルドは1999年に自身の強姦被害や裁判を記した回想録『ラッキー』を寄稿し話題となる。2002年には出版された。同年に小説『ラブリー・ボーン』を発表、全米で250万部のベストセラーとなった。

 

だが、ここからwikipediaの詳細を見てみよう。

2021年11月23日、シーボルドの強姦犯とされていたアンソニー・ブロードウォーターの有罪判決が取り消された。ブロードウォーターは1982年に有罪となり16年間服役、1999年に出所後も性犯罪者リストに名前が掲載されていた。

 

ブロードウォーターは当初から一貫して無罪を主張していたのに加え、同犯罪について記したシーボルドの回想録『ラッキー』映画化の過程で、製作総指揮を務めるティモシー・ムシャンテが原作と脚本の矛盾に気づき、私立探偵を雇って証拠を再検証、その結果をブロードウォーターの弁護士に渡した。

 

当時の裁判でシーボルドは犯人はブロードウォーターだと証言したが、警察の面通しでは別の人物を選んでいた。そして「顕微髪分析」の結果も証拠に使われたが、現在これは信頼性が低いとされている。30日、シーボルドは公式声明を発表、ブロードウォーターに謝罪した。『ラッキー』の映画化は中止となり、出版社スクリブナーは同書の販売中止を発表した。

もし『ラッキー』が映画化されていたら、それはきっと『今回のように』エンタメ性があって面白かったかもしれない。だが、この人物はどこか、一線を超えている要素がある。その要素が今回の映画の狂気となってエンタメ化していたのだが、その未熟さが、今回の映画にちょっとした違和感として残っているのかもしれない。