いかにも面白そうなサムネイル、あるいはポスターで、しかもアンソニーホプキンスなのだから期待してしまう。だが、そこまでハードルを上げない方がいいだろう。そうすれば十分、サスペンスを楽しむことができる。
ジェイソンやフレディ、エクソシストやゾンビまで行くと現実離れしてしまう。ホラーを嫌いな理由はそれだ。教訓性がない。だが、この程度のサスペンスなら、非常に面白い。だから、『ブラックスワン』を『サイコホラー』と言っていた人を見たが、その手の人と私では感覚が違う。あれは、人間心理をうまく描いたサスペンス映画だ。
『サイコ』も『ホラー』も、現実離れしてしまっている言葉である。だが、『こういうことはあり得るかどうか』で判断し、あり得るならその言葉を使うべきではない。自分に置き換えて考えないからお化け屋敷のようにとらえてそう言うが、教訓を得られればその2時間はすべて自分の地となり肉となる。
ソクラテスは言った。
こうした知性があるかどうかが問われる。今回もそうした考え方で、どこまで彼と自分をシンクロさせ、教訓を得られるかだ。あのような描写は、ブラックスワン同様どちらともとらえられる。どちらでとらえるかだ。