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『ブレグジットEU離脱』
この映画は運営者のオススメです。
イギリスの歴史にとって非常に重要なワンシーン。歴史映画としても重要な作品だ。イギリスのEU離脱(ブレグジット)の是非を問う2016年の国民投票の背後で「離脱派」の投票キャンペーンを指揮した選挙参謀ドミニク・カミングスがどのようにして国民投票を攻略したのかを描いている。
個人的には、その戦略の最新性に目がいった。要は選挙とか投票だから、『自分の方に多く票が入る』ように画策するわけだ。単純に、ただそれだけのことをするのである。だが、ビジネスマン全員が『自分の商品を買ってもらう』目的を達成させたなら、ビジネスマン全員がお金持ちになることが確定するように、実際には皆の矢印をこちらに向けることは容易ではない。
この画像は『だれかに話したくなる小さな会社』に掲載されているものだが、ビジネスというのは、こうして人の興味、人からの注目をどれだけ集められるかということが大きなカギになる。矢印がこちらに向いていなければ、それをこっちに向ける為に莫大な労力を伴う。その中にはお金も含まれてしまうだろう。
例えば『それでも、愛してる』というメルギブソンの映画には、社長であるメルギブソンが突拍子もない行動を取ったことで、それがマスコミに注目され、それが結果的に自社の宣伝に繋がった事例を見て、幹部の人間が、
『数億ドルの広告が、タダでできたわ!』
と言うシーンがある。チラシ、看板、ネット広告、テレビCM、街宣車、この世には様々な広告手段があるがどれも有料で、もし『口コミ』のような宣伝で人々の矢印がこっちに向いてくれれば、そんなに幸運なことはないのである。
だがもちろん、『幸運』という偶然で済まさないのが広告の世界に生きるプロだ。日本で言うと『電通』や『博報堂』クラスの広告会社になれば、恐らくこのあたりを『故意』に、意図的に狙った広告戦略は、お手のものだろう。
この映画で出てくる広告のキーマンとの会話の中で、『マッチング広告』というキーワードが出てくる。例えば街宣車で街中を走ってスピーカーで宣伝すれば、『全く興味がない人』にも強制的にその広告をしてしまうが、この手段であれば、『その人に適した適切な広告』を提示することができる。
現在、Googleを筆頭とした企業が行っている広告だ。あれらは検索キーワードなどを元に、その関連会社、例えば検索エンジン、youtube、その他グループ会社を使用する中で、Googleの検索エンジンで検索した内容のCMが、youtubeで流れたり、また、youtubeで検索した内容がWebページのどこかに表示されるバナー広告に反映されたりしている。
そうすれば、Webの中をどうサーフィンしても、どこにいってもその人の興味がありそうな広告だけが表示されるので、広告主も無駄な広告費を使わないで済むし、より高い宣伝効果、費用対効果を得られる。
少し前の日本では、『おしん』や『きんどこ』などで50%近い視聴率をたたき出したかもしれない。だが、それは他に選択肢がなかったから、また、それだけで人々は十分満たされたからだが、長い時間が経ち、それらがあるのが当たり前になってくると、人々のわがままは加速する。
そして現在。現代に生まれる子供たちは、『任天堂スイッチ』が最初のゲームだ。インターネットがあり、youtubeがあり、スマホを持つのが当然という世界に生きる人々は、『おしん』に50%も集まらない。
この映画は、単純にイギリスの重要なワンシーンを切り取った作品としても価値があるが、そうして人々の心理状況の移り変わりを感じ取れる作品でもあり、また、節々にビジネスの貴重なヒントが隠されている、教訓性の高い映画なのである。
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