『ブギーナイツ』
ポスター画像出典:『Amazon』
ジョン・ホームズはエルヴィスがロックンロール界に君臨したように、ポルノ映画界に君臨した。彼は単純明快にキングであった。
と言われ、低く見積もってもサイズが20cmを超えることは確実だった古今を通じて最も有名なポルノスターの1人であるジョン・ホームズの自伝的な映画である。
ホームズは1981年のワンダーランド殺人事件に関与したことでも有名で、今回の映画でその件についても描かれる。またその事件は映画『ワンダーランド』でヴァルキルマー主演の映画が別で製作されている。マークウォールバーグは1993年にデビューしているが、その4年後にこの作品。この作品で彼は初主演を飾り、高い評価を獲得する。
性の世界というのは不思議なもので、確実に生命の世界を支配するだけの力があるのに、それは密かに行い、厳かさが求めれる。遥か昔、結婚がまだない時期の話だ。『世界の神話 神話の生成と各地の神話。神々と英雄の活躍』にはこうある。
かつて狩猟採集時代には食べ物がなくなれば他人のものを奪う略奪は当然だった。略奪の過程で死傷するのも当然のこととされたが、多くの人が1つの場所に集まって住んでこんなことがあれば、共同生活自体が不可能な大混乱が起こるしかない。それで共同生活する構成員は自ら進んで秩序を守るようになる。泥棒を禁じ、殺人や、他人を害する行為を禁じた。つまり道徳や倫理が必要になった。
『狩猟採集時代には食べ物がなくなれば他人のものを奪う略奪は当然だった。略奪の過程で死傷するのも当然のことだった』。人間というのは、ほぼ動物に近い生き方をしていたのだ。食べ物がなくなれば人のものを奪い、相手を殺すこともあった。性生活も乱れていた。しかし、当時はそれが『乱れている』という意識もなかったわけである。
そのようにして人々は集落を作って集団生活をし、農耕と定着生活が始まるわけだ。その中でやはり重視されたのは、
- 広い土地を持つ
- 多くの労働力を持つ
ということだった。ここでいう『労働力』とはまさに『子供』のことだった。
このようにして母系社会が父系社会に変わることで、労働力がある人間が強くなり、『国家を作る』ような動きが見られるようになってくるのである。元々、女性が『労働力』を創り出す力を持っていて母系社会だったのが人間の実態だが、部族が国家になり、集団としてよりまとまって、力を発揮したり、統治したりすることが求められると、男の地位が高まっていった。
そうなると男は、女のことを軽く扱うようになる。特権を乱用し、越権行為を働くのである。そしてこの世に『強姦』という概念が生まれるようになる。そうなると、一方だけが欲を満たし、一方は踏みにじられるという、明らかに真理に逆らった結果が残ってしまうことになる。
人間とは気取っていてもたかだか生命の一つで、最も新しい戦争である『ロシアのウクライナ侵攻』においても、ロシア兵がウクライナの罪のない女性を強姦した後に殺害するという、耳を疑う事実が飛び込んでくる。
この事実を誰が許すことができる?だが、当の本人たちはそれを遂行する権利があると信じているか、あるいは、戦争の狂気に飲み込まれた愚かな生き物なのだ。
性の問題は非常に難しい。こうして一方的に蹂躙されると人間の心は激しくかき乱される。インドではまだまだ性別問わず、無力な人間、特に未成年への性的暴行が横行し続けている。
日本ではどうだろうか。確かに、知り合いから『阪神大震災の時は、ニュースに出ないが強姦があった』という話を聞いたことがあるが、それを包み隠す行為は、当人からすると憤慨する事実だが、しかし全体的に考えると、『日本ではそんなことはありえない』という綺麗な考え方が植えつくメリットが少なからずあるので、一概にその行動は悪いとは言えない。
その意味でも日本は、世界に比べればそういう事件は極めて少ないと言えるだろう。逆に、コロナ問題で浮き彫りになったように、世界に比べて最後の方までマスクから離れずにいたりするシーンが目立つ。それがいいのかわるいのか分からないが、とにかくこの日本人の几帳面で、『綺麗でいようとする心』は、総括すると、結局はメリットの方が大きいように見える。
ガラパゴス化してしまうデメリットがあり、グローバリズムに欠けるところはあるのだが、こんなグローバリズムならいらないのでは?性に関して非常に律儀で、奥ゆかしい一面は、確かに一部の人間から『不満』の声が上がっているが、それらはすべて、欲望があるからだろう。
欲望の声など、真理とは無関係である。欲望は、もっとSEXで満足したいとか、もっと大金持ちになりたいからグローバリズムに対応したいとか、どこまでいっても際限がない。
だが、ブッダが
『人の欲望というものは、たとえヒマラヤの山を黄金に変えたところで満たされることはない。』
と言っているように、『足るを知る』ことこそ、真理なのである。足るを知る者は富む。これは三教、つまり仏教、道教、儒教すべてで教えていることだ。暴走するインド人や、ロシア兵のようになるくらいなら、グローバルに溶け込んだり、追従する必要は一切ない。
性の問題は非常に難しい。我々は性について、どう在ればいいのか。冒頭で
ジョン・ホームズはエルヴィスがロックンロール界に君臨したように、ポルノ映画界に君臨した。彼は単純明快にキングであった。
とあったように、人間の世界ではポルノやエロの世界が人を支配している。こう言う私もyoutubeのサムネで好みの女性がいればクリックするし、週刊誌はグラビア次第で売り上げが大きく変わるという。
だが、それをあまり表に出してはいけない。だが、表に出さないと『むっつり』だとか『足りない』とか言って、文句を言われる。出すと出すで『やりちん』とか『遊び人』と揶揄される。15歳未満の少女と性行為をする部族がある。どう考えてもいかがわしい。だが彼らにエロ動画を見せると、『こんな不埒なものを私に見せるな!いかがわしい!』と激昂する。
どっちがいかがわしい?どうすれいばいい?性の問題は非常に難しい。考えることがたくさんあるのは、性の問題は簡単ではないからだ。内容からして、他の教養ある作品と比べてはるかに滑稽に映るが、しかし
『他の教養ある作品に登場する人物も全員、性行為によってこの世に誕生していて、性行為によって命を繋いでいく』
のである。性の問題は非常に難しい。簡単ではない。ジョン・ホームズのような人間が重宝される現実がある。彼は間違いなくキングだと言う人達がいる。彼らのような仕事が、強姦事件を減らしている事実もある。マフィアがいて、その町の治安が守られている事実があるように、これは『必要悪』なのだろうか。だが一つだけ分かっていることがある。彼が陥った最期は、真理から確実に逸れたことを証明する結果だったということだ。