『私はあなたの二グロではない』
ポスター画像出典:『ヤフー映画』
1960年代のアメリカには実に様々なことがあった。ベトナム戦争、ウォーターゲート事件、ヒッピー文化、アメリカン・ニューシネマ、そして今回のテーマでもある『公民権運動』だ。これは黒人が差別の為に立ち上がった運動である。その公民権運動指導者の代表者と言えば、
- メドガー・エバース
- マルコム・X
- マーティン・ルーサー・キング・ジュニア(キング牧師)
だ。後の二人は有名だが、アメリカではメドガーエヴァースも有名。テレビで常に黒人の代表者として真理を主張し続けてきたことが、記録に残っている。彼が言っていることは真理だ。だが、当時のアメリカ人は真理から逸れた生き方をしているので、彼が間違っていることを言っているかのような雰囲気が作られてしまう。
この映画はドキュメンタリー映画で、サミュエル・L・ジャクソンがナレーションを務める。彼も『ドゥ・ザ・ライト・シング』でDJ役を務めながら、映画のテーマでもある人種差別問題についてメッセージを主張する役を演じていて、この手の問題について無関係ではない。当たり前だ。それは彼がそうこうという理由がなくても、黒人だからである。ちなみに、第44代アメリカ合衆国大統領バラク・オバマが妻のミシェル・オバマと初めてのデートで観に行った映画が『ドゥ・ザ・ライト・シング』だった。
このドキュメンタリー映画は一見すると重苦しい様子があるが、観た方がいいだろう。私も実は観るまではメドガーエヴァースの存在を知らなかったが、彼のことを知ると他の映画でも彼の死がこの時代の黒人たちにとっての重要すぎる一コマだったことを理解できるからだ。『ヘルプ ~心がつなぐストーリー』でも彼の死のシーンが、そして『ゴースト・オブ・ミシシッピー』ではまさに彼の遺族が主人公として描かれる。
マルコムXとてそうだ。デンゼルワシントンが『マルコムX』で彼を演じ、ウィル・スミスは『ALI』でマルコムと親しかったモハメドアリを演じる。キング牧師も『グローリー/明日への行進』で、ヘルプに出演した黒人牧師の俳優が演じている。
私は映画を完全に娯楽の道具として使っていた時、こういう映画を観ようとも思わなかった。だが、今はもう違う。映画から多くのことを学びたいと考えている。そういう人間にとっては、時に脚色された通常版よりも、こうしたドキュメンタリー映画の方が質の高い教訓を得られることが多い。