ポスター画像出典:『GYAO!』
1963年に起きた公民権運動家メドガー・エヴァーズ射殺事件。それは、当時を生きるアメリカ人にとってはあまりにも大きな事件だった。『ヘルプ ~心がつなぐストーリー』でも彼の死のシーンが、そして今回の映画ではまさに彼の遺族が主人公として描かれる。ミシシッピというのは『ミシシッピバーニング』という映画もあり、それも実話だが、アメリカの南部にある。地図を見てみよう。
アメリカの『東部の南部』にあることがわかる。アメリカは『西部開拓史』という映画があり、西部劇としてカウボーイハットを被ったカウボーイたちが、荒野で活躍する話は有名だ。例えばバックトゥザフューチャー3でもこの時代にタイムスリップしてしまったドクを追いかける物語が展開されるが、この時もそうだ。ドクが戻ったのが1885年。つまり、まだつい最近まで西部というのは荒野だった。そしてあのリンカーンが奴隷解放宣言を出し、
『1863年1月1日に、アメリカ連合国各州の奴隷はその日以降永久に解放される』
と言ったのがその時期だから、ドクがまだ荒野そのものである西部の時代に行ったとき、すでに奴隷解放宣言は出されていた。つまり、あの頃の西部はまだ頭部と違って『荒野』であり、『これから開拓していく場所』だったのである。ハリウッドなどがある有名なロサンゼルスも、この時はまだ未発展の地。スペインやメキシコが関与していたりと、アメリカの顔としては成立していなかった。そして、南北戦争があったのはそのリンカーンのいた時代だ。
北部の経済は、産業資本家による商工業が中心で、
という体制があり、南部の経済は、大農園主によるプランテーションが中心で、
という体制があった。こうして見るだけでも、南北で支持する政党から何から、全く考え方が違うことがわかるわけだ。
南北戦争で北部が勝利するも、実際にはその後150年以上経った今でも、南部では強くその人種差別的な発想が根付いているのである。とりわけ、この1960年代というのは黒人の風当たりが強かった。それは黒人がこの時代に強く主張したからでもあった。
を筆頭に、モハメドアリら有名な黒人代表者たちが声を上げ、そして弾圧されてきた。上に挙げた3名は全員暗殺されてしまっている。今回の映画のタイトルは、主人公である地方検事ボビー・デローターの娘クレアの部屋に出るという幽霊と、アメリカ合衆国南部に根強く残る“人種偏見”を亡霊に喩えたもの。彼は遺族と共に、30年以上経った1990年代に真犯人を追求。果たして、この国で南部の人々の考え方を改めさせ、この歴史的問題を有罪にすることができるだろうか。