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『ヒトラーへの285枚の葉書』 レビュー(感想)と考察

『ヒトラーへの285枚の葉書』

ポスター画像出典:『映画.com

 

ペンと葉書を武器にナチス政権に抵抗した夫婦の実話である。1940年のナチス・ドイツの全盛期のベルリンにおいて、息子を戦争に殺された復讐として、正義の道にスポットライトを当てる使命に駆られたこの夫婦は、世界最狂にして最凶と言われる存在のヒトラーを引きずり降ろそうと画策する。

 

ヒトラー時代にユダヤ人虐殺(ホロコースト)で犠牲となったユダヤ人は少なくとも600万人以上であり、広義で考えるなら900万から1,100万人になると言われている。これは彼の前に世界の独裁者として歴史に名を刻んだナポレオン時代の、ナポレオン戦争の死者数を超える数である。

 

ユダヤ人だけでその死者数だ。この表にあるように第二次世界大戦での死者数は世界最悪の数字。ナチスはその戦争の火付け役にして元凶そのもの。日独伊三国同盟を結んだ日本も全く人のことは言えないが、そのナチスの本拠地にあってその行動を取ることは、あまりにも危険な行為だった。

 

ヒトラーを欺いた黄色い星』というドキュメンタリー映画にも近い映画では、ホロコーストの対象であるユダヤ人がその身分を隠して生き延びた話が展開される。7000人いたユダヤ人が1500人生き残った。それもまたこのベルリンであった事実なので、併せて観るとより奥行きが理解できるだろう。

 

あの地獄のような時代、そしてその地獄の中心地で、『そこが地獄である』という決定的な事実から目を反らさずに行動した人物がいた。そのことを忘れてはならないのだ。

 

 

 

 

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