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『ブレイン・ゲーム』 レビュー(感想)と考察

『ブレイン・ゲーム』

ポスター画像出典:『映画.com

 

 

この手の超常現象的な話は私は全く興味がなく、批評家もこの映画を低く評価し、「『ブレイン・ゲーム』は才能溢れるキャスト陣と凝った設定を売りにしているが、使い古された文句と滑稽な捻りの間でダラダラと進むストーリーという欠点の方が目立っている。」としているというが、私がそのように彼らに言って欲しい映画は他にあり、実はこの映画から得る所は案外いくつもあった。

 

この映画を、ただ超常現象を引き起こす人というオカルト的な話にまとめてしまうと抵抗があるが、そうではなく、この映画全体で訴える哲学的な倫理観だけを見ると、案外考えさせられることになるのだ。それを考えるためには『トリアージ』という医療概念を知っておく必要がある。この優先順位に従って治療する患者の優先順位を決める、『選別(トリアージ)』をするのだ。これに関しての倫理は批判的な意見が常につきまとう。

しかし、では、

『一人の医者しかおらず、二人の緊急の患者を診なくてはならなくて、一人は、どう考えても治療をしても命を落とすとわかっていて、もう一人の人なら重傷だが治療をすれば何とか一命をとりとめることが出来るかもしれない』

 

というとき、このトリアージによって『選別』することは、間違いなのだろうか。これは極めて難しい判断なのだ。どちらを取っても不正解だという空気が漂っている。ぜひこの映画をそういう視点を持って観て見たい。