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『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』 レビュー(感想)と考察

セント・オブ・ウーマン/夢の香り

ポスター画像出典:『映画.com

 

軍人時代の怪我で視力を失った男をアルパチーノが演じる。彼は視力こそないが、直感は鋭く、自信に満ち溢れているように見えた。だが、彼は『盲目』だった。その意味はもちろん、映画で観て確認したいことだ。彼と一緒に行動するのは少年だ。普通の高校生。そりゃあ悩みも抱えている。誰もが皆そうだ。だから男は彼の為に人生の先輩として教えられることがたくさんある。少年にとっては一時的なアルバイトのつもりの付き合いだったが、次第に彼が人生の師に値する何かを持っていると感じるようになる。

 

だが言ったように彼は盲目だ。一体どういうことなのか。先行きが見えないで不安でいるのは、途中まで少年の方だと思い込んでいた。言葉は、火と同じである。人を暖めもするし、火傷を負わせることもできる。目が見えない彼にとっての言葉とは、健常者のそれよりも遥かに深く心に突き刺さり、そして逆にその闇を照らしてくれる火の暖かさは、誰よりもしみじみと実感することができる。

 

 

少年が彼にできることはなにか。男が少年にできることはなにか。偶然出会った二人の男たちが、本音で向き合い、支え合い、在るべき人間の姿を確信する。