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『マーキュリー・ライジング』 レビュー(感想)と考察

『マーキュリー・ライジング』

ポスター画像出典:『Yahoo!映画

 

アメリカ国家安全保障局NSA)は、アメリカ国防総省の情報機関で、重大な任務に「核戦争に備えること」がある。基本的な仕事は通信・情報問題の管理や『暗号関係』にあり、1917年にハーバート・オズボーン・ヤードリーの設立した暗号解読組織「ブラック・チェンバー」(MI-8)にさかのぼる。その後NSAの前身組織が、太平洋戦争開戦時に大日本帝国の外交秘密「パープル暗号」を解読し、山本五十六搭乗機撃墜やミッドウェー海戦の勝利などに貢献する。

 

また、あのスノーデンだが、彼が告発した内容はこのNSAによる国際的監視網(PRISM)の実在についてである。それまで陰謀論やフィクションで語られてきたことだったが、それが現実だったのである。

 

その世界の運命を決めるほどの重要な情報を管理する組織が、『絶対に解読不可能な暗号』を半ば遊び感覚で公表。だが、それを自閉症の少年が解いてしまった。自閉症やサヴァン症候群といった病気を負った人たちは、『全体的な能力の低下』と引き換えに『一定の能力のずば抜けた向上』が見られるケースが多々ある。兼ねてから『能力の顕在化』に興味がある私は長年この話に触れてきたのだが、無責任で何の確証もない話だが、この現象が『ダムの堰止め』に似ているように見える。

 

水流(水が出る放出口)がたくさんあるダムで、一つを除いてすべての堰を止める。すると、その一つの放出口に水が集中して放出される

 

というイメージだ。これは適当なイメージなので無視していいが、妙に無関係ではないイメージのような気がするのである。それはさておき、そんな子供がいたらどうするだろうか。解読されたということは暗号システム開発プロジェクトの失敗を意味するため、出世を目指す関係者が、それを隠蔽しようと暗殺を目論むのである。

 

果たして、ブルースウィルス演じるFBIのベテラン捜査官は、この奇妙な事件を解決できるだろうか。そして、難しい病気を負い、意思疎通すらままならない少年のことを、無事に守れるだろうか。