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『評決』 レビュー(感想)と考察

評決

ポスター画像出典:『映画.com

 

平和に貢献したくて警察になった。正義を守りたくて弁護士になった。人を救いたくて医者になった。だが、現実は違う。平和は永久に訪れないし、弁護士が守れない正義があり、医者が救えない命がある。何年も、何十年もそういうこの世の中で息をしていると、いつの間にか当初の夢や希望や信念は薄れてしまうものである。たとえ本人は忘れたつもりがなくても、忙しければどうだ。お金に追われればどうだ。

 

衣食住に国民の義務。この世界に完全に蔓延している社会制度と経済的事情は、この世界で生きる人々のそれを忘れさせる。『7つの習慣』にあるマトリックスで考えるとわかりやすい。

 

第一領域は、まるで『脅迫』だ。第三領域は、自分にとって本当に有意義だろうか。第四領域は、逆に言うとこれは『時間に支配されている』。それに反発しようとして、そこから逃げることで自由を得ている感覚になっているだけだ。

 

最も重要なのは『第二領域』である。『タイムリミット』、『緊急性』、つまり『時間』に支配されない唯一の過ごし方。『時間』と最良の向き合い方をする『第二領域』の人生。これが出来るかどうかが問われている。主体的にこれを意識をしなければ、大勢の人や時の流れといった大きな河の流れから、抜け出すことは出来ない。

 

さて、今回の主人公も第一領域に追われ、第二領域に目を向けることを忘れてしまっていたようだ。だが、このまま終わるのか。このまま人生を終えて本当にいいのか。かつて心底で燃え上がった男の信念が、人生の黄昏時を迎えたその時、男の心を揺り動かした。