伝説の俳優ジェームズディーンの演技を見るのはこれが初めてだった。ディーンは、本作公開の約1ヶ月前に交通事故により死去した。まだ24歳という若さだった。彼が伝説ということについて、椎名林檎は暗にこう述べている。『若くして死んだ人は伝説になる』と。これは、hide、尾崎豊、シドヴィシャスなどもそれに該当することになるだろう。だが、伝説になる要素はそれだけじゃなく、実力や才能もそこに加味されるべきである。ここに挙げた者は全員それを持ち合わせていたと言えるだろう。
ではジェームズディーンはどうか。私はここまでに1800本の映画を観たが、その私からすると、かなりの才能があると言っていいだろう。年齢は考えなければならない。そして、同じ時代にあった他の映画や当時の時代背景も考える必要がある。当時のことを詳しく知るわけではないが、同じ1950年代の映画をいくつも観ているが、それらに登場する役者たちと彼の演技を比べてみても異彩を放っている。
いや、カリスマ的に光り輝いているとまでは言わないのだが、明らかに才能があるのがにじみ出ているのである。『こなしている』。そういう印象を得る。そしてそれはもちろん違う作品を観て確信に至るわけだ。この後に『エデンの東』を観たのだが、そこでの彼はこの映画の彼と違う表情を見せていた。この男、現代を生きていたらいったいどのような映画に出演し、どのような演技をしてみせたのか。そんなことまで想像させる、稀代のタレントである。