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『恋人たちの予感』 レビュー(感想)と考察

『恋人たちの予感』

ポスター画像出典:『映画.com

 

この映画でのメグライアンの、カフェでの『喘ぎシーン』は有名なシーンだという。確かに私も2000本近く映画を観てこれと同じようなシーンがある映画を観たことはないので、目立つシーンだった。それと個人的には挿入歌の『トマト、ポテト』というルイアームストロングの歌がお気に入り。何だかこの映画の雰囲気はとてもいい。また、この映画をクリスマスの映画として認識されることは少ないだろうが、最後にクリスマスのシーンがあれば皆クリスマス映画になる。

 

テーマとしてもそれにふさわしい。この映画の中で過ぎる時間は10年以上。つまり『そのクリスマス』にたどり着くまでに10回のクリスマスを過ごすわけだが、そこまでの過程が物語を盛り上げるのだ。誰もが自分の運命の伴侶を探し求めている。『ソクラテス・イエス・ブッダ 三賢人の言葉、そして生涯』にはこうある。

喜劇作家であるアリストパネスは演説でこう言った。

『かつて人間は二つの肉体が背中合わせとなった存在であった。』

一体となっている二つの肉体のどちらも男である場合、どちらも女である場合、そして男と女である場合(両性具有=アンドロギュロス)があった。残念なことに、ゼウスの決定により、彼らの肉体は二つに分断された。それ以来、私たちは分離されてしまった片割れを求めている。元の肉体の組み合わせにより、求める片割れは男もしくは女である。アリストパネスによると、この探究こそが私たちが愛と呼ぶものである。愛とは、失われた原初の結合を回復しようとする欲求である。愛によって自分と一体であるべき片割れを見つけ出し、私たちの本来の姿を完全に回復できた時、私たちは最高の幸せを手に入れることが出来る。

 

アリストパネスの話はもちろん神話だが、今よりもうんと知識も事実も明確じゃ無い頃から、我々はこの『不思議な吸引力』について、神がかり的で謎めいた奇跡を見出していた。