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『パットン大戦車軍団』 レビュー(感想)と考察

『パットン大戦車軍団』

ポスター画像出典:『GYAO!

 

実在したアメリカの陸軍大将ジョージ・パットンが描かれる。まず『大将』というのがどのくらいすごいのかということを軍隊の階級制度を見て確認してみよう。

 

軍隊の階級

大元帥元帥

 

  • 上級大将
  • 大将
  • 中将
  • 少将
  • 准将
  • 代将
  • 上級大佐
  • 大佐
  • 中佐
  • 少佐
  • 尉官
  • 上級大尉
  • 大尉
  • 中尉
  • 少尉
  • 准士官
  • 准尉(兵曹長)
  • 下士官
  • 上級曹長(上級上等兵曹)
  • 曹長(上等兵曹)
  • 軍曹(一等兵曹)
  • 伍長(二等兵曹)
  • 兵長(水兵長)
  • 上等兵(上等水兵)
  • 一等兵(一等水兵)
  • 二等兵(二等水兵)

 

組織のトップに大元帥元帥、通称『元帥』という役職があり、その下に『上級大将』というものがあるが、これは国によって存在しない場合もある。したがって、元帥の次にいるのが大将。元帥が、本部で国のトップらと直接つながって軍隊全体の指揮を執るのに対し、大将というのは『現場の大親分』に近い。したがって、軍人からすれば元帥というのは『実態のわからない雲の上の人』であり、『雲の位置にいて常に指揮・指導・管理』する大将の方が怖いのである。

 

パットン大将というのはTHE軍人のような人間であり、戦争に生き、戦争で死ぬことを覚悟したようなその心構えには『軍神』という名も相応しいように見える。その愚直さゆえに逆に言えば『大将どまり』の人間で、考え方に柔軟性はない。だが、猛進するエネルギーは誰にも負けないということで、彼は大将として異彩を放っているのである。彼の息子もその後の朝鮮戦争等で『少将』として指揮を執った。

 

第二次世界大戦の運命を決めた『ノルマンディー上陸作戦(1944年6月6日)』。これは、200万人近い兵員がドーバー海峡を渡ってフランス・コタンタン半島のノルマンディー海岸に上陸した。現在に至るまで歴史上最大規模の上陸作戦である。

 

 

実はこの作戦が成功した陰には、パットン大将の存在があった。いや、彼が直接ここに大きく貢献したわけではない。映画で出てくる内容は、そのまま『ノルマンディー上陸作戦』のWikipediaのページにも書いてある。

 

イギリス側が上陸を仕掛ける地域を、カレー、ノルマンディー、ブルターニュのいずれかであると推定していた。しかし連合軍の欺瞞作戦により、カレーが上陸地点であると考えるようになった。また『パットン軍団』の存在を重視し、同時多発上陸計画が存在すると確信していた。

 

つまり敵国であるドイツ側は、パットンという男を非常に警戒して彼の動きをマーク。それによって惑わされ、フランスのカレーなどのエリアに注目。そうした意識の分散作戦が成功し、彼らはノルマンディーに上陸することができたのだ。

 

したがって、作中で敵国がパットンを高く評価する内容があり、この映画が1970年に作られ『冷戦真っただ中』という状況にあったことを考えると、アメリカ人を鼓舞するための誇大演出があると疑いがちだが、あながち彼という人物はその地位も実力も、世界的に存在感のある人物だったと言わざるを得ないのかもしれない。

 

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