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『招かれざる客』 レビュー(感想)と考察

『招かれざる客』

ポスター画像出典:『Yahoo!映画

 

この映画が出たのが1967年という時代だ。60~70年代というのは、多くの黒人指導者が亡くなったわけである。黒人の公民権運動家の代表格メドガー・エヴァースが暗殺されたのが1963年、マルコムXが暗殺されたのが1965年、キング牧師が暗殺されたのが1968年。ジョン・F・ケネディもその弟のロバート・ケネディも暗殺された。これを見ればこの時代の黒人たちがどのような心境で人生を生きていたかが見えてくるだろう。

 

だから登場する黒人俳優は、差別的な目を向けられて当然という態度を示し、自然な振る舞いをする。ちなみにこのシドニーポワティエは、黒人俳優としての先駆者的存在のひとりで、男優としては初めてアカデミー主演男優賞を受賞した。KBE(大英帝国勲章)を与えられた人物である。

 

 

そこまでの実力者である彼が、差別に慣れているように振舞うのを見ると、黒人差別は大分薄まってきたことと、そして間違いなくそれが濃厚に植えついてしまっていたことがよくわかる。更に知りたいなら、『私はあなたの二グロではない』というドキュメンタリー映画を観ればいい。この時代の彼らや映像を見ることができ、平気で暴力を振るわれている映像も多く見ることができる。

 

また、アポロ計画とは有人月面着陸についてのアメリカの計画で、こ1961年から1972年にかけて実施されたわけだが、映画『ライトスタッフ』、『ドリーム』などを観ると更にこの時の状況が見えてくるようになる。実はドリームで描かれるように、黒人たちもNASAをはじめとする重要な役職に就いて仕事をしていた。だが、当時を描いたそうした映画の職場には黒人がおらず、その理由をドリームで観ることができる。

 

招かれざる客。それは『歓迎されない客』ということである。当時の白人と黒人の間にあった距離を見てみたい。