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『ドンファン』 レビュー(感想)と考察

『ドンファン』

ポスター画像出典:『Yahoo!映画

 

かつて17世紀のスペインに、1,502人の女を虜にした伝説の人物ドン・ファンという男がいた。この男はそのドンファンの生まれ変わりか、あるいはその人物そのものであることを吹聴し、常識で考えて精神障害があると判断された。診断結果は人格障害である。だが、多重人格者や人格障害のキャラクターを見てきて何となく知っているように、彼らは『そのキャラクター』でいるとき、傍から見ると本当に違う人物であるように見える。言葉遣いも癖も変わって、人によって論理的だったり、無責任だったりする。

 

『スプリット』でジェームズマカヴォイが演じた男は、死に不安定になった母からの虐待を幼少期から受けた影響から、自身を守るために23の人格を持つ多重人格者となってしまった。そこでその詳細が観れるのだが、もしこれが『演技』だとしても、それができるのは相当な知識量のある天才だ。

 

こういう性格で性別がこうで、年齢がこれくらいであれば、このキャラはこう行動する

 

ということを理解していなければできない。今回の男は多重人格ではなく、ドンファンそのものだと思い込んでいる。したがって、挙げた男ほどの知識量は必要ない。ただ、女性や愛に関する知識だけあればいい。もしかすると自分が持つ知識のそれが、ドンファンの一生と酷似していたため、彼の中で性格がシンクロしてしまい、思い込みが加速してしまったのかもしれない。

 

だが、注目するべきなのは今出た『知識』である。この男を見たジャックという精神科医が、燃え尽き症候群だったことが運命のいたずらだった。彼はジャックの『心に空いた隙間』を埋めるだけの知識と情熱を持っていたのだ。それがこの物語を奇妙な展開へと発展させていく。

 

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