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『危険なメソッド』 レビュー(感想)と考察

『危険なメソッド』

ポスター画像出典:『映画.com

 

この映画も評価は低いがマイケル・ファスベンダー、ヴィゴ・モーテンセン、キーラ・ナイトレイ出演という豪華共演、また、実在した偉人フロイトや、ユングが登場する映画というだけで、私は別に内容がどうであれ歴史的価値があるとして価値を高く評価したい。ただもちろん歴史に一切の興味がなく、物語の展開だけに期待したい人は評価を低くしてしまうかもしれない。

 

ただ、キーラナイトレイの体を張った演技は評価に値する。彼女が演じたザビーナ・シュピールラインもロシアの精神分析医である。ユングとフロイトの関係と確執、彼ら精神を専門とする偉人たちの間で交わされるワンランク上のやり取りは、一見すると何をやっているのか分からない、あるいは普通に『逸れる人』が描写されるが、実際にはそこで行われている『危険なメソッド(不倫関係)』も分析の対象となる『実験』の中の一部になることを考えると、ただドロドロと関係が崩れて終わっていくその他のドラマとは違い、論理的である。

 

しかしそれは結果論で、彼らほどの人物であっても自分が『堕ちていく』ことは止められないし、自己防衛による自己の正当化、あるいは捏造、隠ぺいを図ろうとするという弱さを持っているということが見え、彼らに人間味を感じて逆に親近感を覚えることができるだろう。