ポスター画像出典:『映画.com』
まず、この手の歴史映画はマイナー扱いされるのか、邦題はゲームのタイトルのようになるのが相場だ。『ヴァイキング・サーガ』とか、『バタリオン ロシア婦人決死隊VSドイツ軍』とか、何かと格好いいっぽいゲームタイトル、あるいは少年漫画にバトルが求められるように、その要素を前面に押し出すことが多い。『ドラゴンボール』も、鳥山明は最初もっとアドベンチャー要素の漫画を描きたかった。だから最初は『Dr.スランプ』からの流れでギャグな描写も多かった。だが、少年ジャンプの需要に応えなければならず、バトル要素のある漫画へと切り替わっていった。今、彼があの漫画の続きをもう描かなくなったのは、最初から別に描きたくなかったという本音が存在するからなのかもしれない。
そうした目線を一つ持っておくとこの手の映画に強くなる。つまり、過信しないようになるわけだ。バトルよりも歴史的な会話のシーンが多くても不思議ではないと感じるようになり、『思い込みによる不一致』が生じず、映画に対する評価も低くなくなる。だが、『ロシア史に残る伝説の戦い「バトゥのリャザン襲撃の物語」をモチーフに描かれる、強大なモンゴル帝国軍にたった1人で立ち向かったロシア最強の剣士コロヴラートの、爽快なソードアクション』という広告では、誰もが無双ゲームのようなイメージを思い浮かべてしまうだろう。
時は13世紀(1237年)のロシア。当時の世界を制覇していたのはモンゴル帝国だ。
ヨーロッパの覇権の推移
ロシアという名前はないので『ウラジーミルスーズダリ大公国』となる。その大公であるユーリー2世は、モンゴル帝国のバトゥ軍に圧迫されていた。モンゴル帝国の創始者チンギス・ハンの長男であるジュチ。この男の次男がバトゥである。
果たして、当時世界最強を誇ったモンゴル帝国の莫大なエネルギーに、この剣士がどこまで通用するか。それが一つの見ものである。また、それよりも重要なのがこうして動画配信サービスで世界の映画が簡単に観れるようになり、歴史映画として紹介すべき映画の空白が埋められるようになったことである。モンゴル帝国時代やロシアの歴史を描く映画がほとんどなかったので、歴史ファンとしては今後が楽しみだ。私は別にファンではないが、人間として堂々と生きていくために欠かせない要素なので、有難い。