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『ディバイナー 戦禍に光を求めて』 レビュー(感想)と考察

『ディバイナー 戦禍に光を求めて』

ポスター画像出典:『映画.com

第一次世界大戦中のガリポリの戦い、および希土戦争(きとせんそう、1919年 – 1922年)の様子を描いている。希土戦争とは、第一次世界大戦後にギリシャ王国とトルコの間に生じた戦争で、ギリシャ軍がムスタファ・ケマル・パシャ率いるトルコ軍に敗北し、セーヴル条約で得た領土を失い、現在のギリシャ領がほぼ確定した。

 

 

この戦争時代を背景に、父と子の再会を描く。原題の(The Water Diviner)は、水脈を探し当てる職人という意味。主人公の男は農夫でもあり、冒頭でまず水脈を見つけて井戸を作る仕事から始まるので、いきなりその意味がわかる。そしてその後、実に3700万人の人が亡くなり、800万人の人が行方不明で終わった第一次世界大戦の死者を見つけるミッションにその特技が役立つ。この意味でも、ウォーター・ディバイナーの男が活躍する物語として成立するわけだ。

 

だが、彼の場合はその見つける死体が普通の相手ではないこと、そして自分の家族が迎えた凄惨な現実が悲惨であることが異例である。更に、『ディバイナー』というのは『占い師』という意味にもなる。実は、そのキーワードもこの話のカギとなっていくのである。