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『ザ・ヘラクレス』 レビュー(感想)と考察

『ザ・ヘラクレス』

ポスター画像出典:『映画.com

 

 

『ヘラクレス』

インモータルズ -神々の戦い-』、『タイタンの戦い』などと同様、古代ギリシャのギリシャ神話をモデルとした映画。その中でも、ギリシア神話に登場する多くの半神半人の英雄の中でも最大の存在である。タイタンの戦いの主人公はペルセウスだが、ヘラクレスはその子孫である。そのように、ギリシャ神話の旅として、併せて観るのも面白いだろう。

 

『ザ・ヘラクレス』

ドウェインジョンソンが演じた『ヘラクレス』も観たが、世界の神話にスポットライトを当てた映画としてヘラクレスはとても重要な位置にいるので、色々な角度から見ても損はない。それが鑑賞理由だ。実際、前者の方は『実際には凡人』という描写だが、今回の場合は更に神話的に展開されていく。しかし人間として心がエグられる深刻なシーンも多々あり、人間としての葛藤が描かれるため、半神半人の英雄の中でも最大の存在であるヘラクレスの描写としては、相応に見えるだろう。

 

この映画で描かれるヘラクレスと、ブラッドピットの『トロイ』で描かれるアキレウスは、その二人を祖に持つとされるアレキサンダー大王へと繋がる。ではこの世界の覇権の推移を見てみよう。

 

ヨーロッパの覇権の推移

STEP.1
アッシリア
紀元前7世紀の前半~紀元前609年。オリエントの統一王朝を成し遂げるが、アッシュル・バニパルの残虐性のせいで帝国が破綻する。
STEP.2
アケメネス朝ペルシャ
紀元前525年~紀元前330年。キュロス、カンビュセス2世、ダレイオス1世また統一し直し、インド北西部からギリシャの北東にまで勢力を伸ばす。
STEP.3
アルゲアス朝マケドニア王国
紀元前330~紀元前148年。フィリッポス2世がギリシャを、アレクサンドロスがペルシャを制圧。
STEP.4
ローマ帝国
紀元前27年~1453年5月29日(完全な崩壊)。カエサルが攻め、アウグストゥスが守る形で『ローマ帝国』が成立。
STEP.5
モンゴル帝国
1200~1300年。チンギス・ハンが大モンゴルの皇帝となり、5代目フビライ・ハンの時にはアレクサンドロスよりも領土を拡大。
STEP.6
オスマン帝国
1453年5月29日~。かつてのローマ帝国は、『神聖ローマ帝国』と『ビザンツ帝国』の東西分裂をしていて弱体化していた。1453年5月29日、メフメト2世がビザンツ帝国の首都コンスタンティノープルを征服。

 

『帝国』とは、異国を支配下に置いていき拡大していく集合体で、世界初の抵抗は現在イラク地方であるアッシリアだった。だが、初めて世界規模の広大な帝国を作ったのがアレキサンダー大王である。その後、アレキサンダーによってエジプトにアレクサンドロスが紀元前332年に建設された。アレクサンドロスの死後は、その部下だったプトレマイオス1世がエジプトを支配し、古代エジプト最後の王朝であるプトレマイオス朝の首都として発展した。そのプトレマイオス朝最後のファラオ(女王)があのクレオパトラである。

 

そしてクレオパトラは次の世界の支配者ローマの中心人物、カエサルマルクス・アントニウスと関係を持つ。そしてカエサルが死に、クレオパトラらも死ぬと、アウグストゥスがローマを継ぎ、『ローマ帝国(帝政ローマ)』が誕生するのである。

 

もちろんヘラクレスやアキレウス、ゼウスなどはすべてギリシャ神話の人物だが、そうした神話の神の子孫として権力を持ち、この世界の形に大きく影響を与え続けた歴代の偉人たちの歴史を考えると、彼らの話を知る時間というのは有益なのだ。

 

面白いのが、この紀元前1200年というのは、『エクソダス神と王』でモーセとラムセス2世が描かれる時代とほぼ同時代ということである。エジプトにもエジプト神話があり、その中からユダヤ教という新しい神話・宗教が誕生したが、ラムセス2世は実在した可能性が極めて高く、そこで行われて映画でも描かれる、世界初の公式な戦争『カデシュの戦い(1286年頃)』も実在したことから、神話と現実が混ざり合っているということだ。

 

 

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