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『カジュアリティーズ』 レビュー(感想)と考察

『カジュアリティーズ』

ポスター画像出典:『映画.com

 

ベトナム戦争の戦場で1966年に起きた「兵士による少女強姦」事件を、戦場に於ける犯罪を告発した退役兵士の回想として描かれる。この映画の存在を今まで一切知らなかったことから、=大したことがない映画として片づけてしまっていたが、とんでもない。どこかのランキングにもなく、観るべき100作品の中にもないが、真実を描いた話ということもあり、同じベトナム戦争が舞台の『プラトーン』と並び、緊迫のベトナム戦争の戦地を想像できる貴重な映画である。

 

両作品とも悪役の演技が素晴らしい。今回はショーン・ペンだ。彼が見事にこの話を引っ掻き回してくれている。『BTTF』のイメージが世界中に焼き付いているマイケルJフォックスも、そのパブリックイメージ通りの『心底に信念がある心優しき青年』を軸にするも、BTTFとはまた違う人物をしっかりと演じ切り、展開が読めない物語を全員で織りなすことに成功している。

 

私も人に怒り狂った時、『戦争になったらあいつをどさくさに紛れて殺す』と言うのだが、それは半分以上冗談である。だが、その『架空の予定』を入れることでアンガーマネジメントとなるので、血気盛んな時代を生きた私からすれば、少し暴力的に見えてもそれで心が落ち着くのである。実際にそうするわけでもないのだから。

 

だがどうだ。この場合は実際の戦場である。そうなると人間はどうなる。ここで冷静に記事を書いて論理的でクレバーな人間ぶる私はどうなってしまう。そんなことを一つ頭の隅に起きながら、実際にあった戦場での悲劇を見ていく。