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『ディファイアンス』 レビュー(感想)と考察

『ディファイアンス』

ポスター画像出典:『映画.com

 

第二次世界大戦時のナチス・ドイツ占領下でのポーランドにおけるビエルスキ兄弟を描く。ほとんどが実話だが、原作の小説『ディファイアンス ヒトラーと闘った3兄弟』の著者は特にエンディングのシーンには脚色として派手過ぎると感じたという。また、ビエルスキ兄弟が率いたユダヤ人組織に対する歴史的評価もポーランド内では分かれている。映画内では彼らを『モーセ』と合わせ見るシーンがあるが、反対に同じポーランド人から略奪することで生き延びた山賊集団と考えた人もいるようだ。

 

だがどちらにせよ、この時のユダヤ人と言えばナチスにやりたい放題される展開が多いので、彼らのように武力で抗った人間の話は珍しく、斬新である。斬新というのは映画でという意味で、これ自体は実話なのだからそこもまた興味深い。教訓性も高い。彼らがナチスに隠れながら森に住み、そこである種の小国家、あるいは小さな部族集団となるわけだが、その実態が非常に興味深いのである。

 

参考となる映画は『コロニア』、あるいは『ヴィレッジ』だ。下記の記事に書いた老子小国寡民がキーワードである。

 

小国寡民(しょうこくかみん)

住民が少ない小さな国。国が乱れることなく治まる小国寡民が自然な姿だと老子は言った。

Inquiryで導き出したもの、導き出していくもの(下) | IQ. (a-inquiry.com)

 

リーダーが必要とされ、妊娠があり、未熟な人間の私利私欲が絡んで人が死ぬ事件もあった。これは『ヴィレッジ』で展開されたシナリオとかなり近いもので、私としても素晴らしい映画に出会えた気分だ。資料としても貴重である。