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『ブラック・ウォリアーズ オスマン帝国騎兵隊』 レビュー(感想)と考察

『ブラック・ウォリアーズ オスマン帝国騎兵隊』

ポスター画像出典:『映画.com

 

この映画の説明も野蛮である。『15世紀のオスマン帝国を舞台に、暴虐の限りを尽くす権力者に立ち向かう7人の精鋭部隊を描いたトルコ発の歴史映画』。そして意味不明の『黒い天使の羽』をつけた兵士に、格闘家を遥かに超越したような漫画のような格闘シーン。そしてブラック・ウォリアーズという、まるで『無知な少年が思わず格好いいと思ってしまう』ように仕向けられて、相手のことを『暴虐の限りを尽くす権力者』とする。相手をとことん下げ、自分たちをとことん上げる手口は、稚拙である。

 

だが、時代としてはとても重要だ。メフメト2世と、『ドラキュラ』のモデルとも言われた『串刺し公ヴラド3世』のいた時代で、両者が対立する。ブラック・ウォリアーズはオスマン帝国側の兵士たちだ。

 

  • メフメト:オスマン帝国
  • ヴラド:ワラキア公国

 

だからこれはぜひ『ドラキュラZERO』と合わせて観たい。そっちでは今度『ヴラド目線』であり、英語だから見やすい。別にアラビア語(かわららないが)を批判するわけではないが、どうしてもその言語の人たちがこういう美化正当化をしてしまうと、ISのこともあって勘違いされる。彼らの手口も同じように、自分たちを映画のような映像で美化してSNSを使って人を洗脳して集め、『敵』を悪人に仕立て上げて知らぬ間にテロリストに仕立て上げてしまうのだ。

 

だからこういうやり方はやめた方がいい。もし事実だとしても、もっと多くの説明がいるし、中東がもう少し安定してから発表した方がいいだろう。『ドラキュラZERO』ではオスマン帝国が兵力増強のため『支配下にある国々に奴隷として子供1000人を差し出させる』という鉄の掟(デヴシルメ)をヴラドに強要するシーンを見ることができる。最も、彼も人を串刺しにしてドラキュラの元になった人物だから正当化できないが。

 

こちらはただオスマン帝国の歴史を正当に評価したいだけだから、そこにイスラム教があって何も文句はないが、美化正当化はやめた方がいい。それはもちろん、違う国の違う時代を切り取った違う映画の、キリスト教や、その他の一切にも当てはまることで、この映画だけに限った話ではない。