『グレート・グローリー 大いなる勝利のために』
ポスター画像出典:『Amazon.co.jp』
これはメキシコの歴史を描いたメキシコ映画なので、Wikipediaにも詳細がなく、タイトルも『大いなる勝利のために メキシコ革命1926』だったりして、ちゃんと定まっていない。だが、内容はなかなかスリリングで見応えがある。何しろ実話ベースなのだから緊張感が違う。メキシコの歴史というのも珍しいからそれだけで十分歴史的価値があると言えるだろう。
舞台は『クリステロ戦争』。1926年に始まり1929年に終了したメキシコでの反動的革命運動、白色テロ、宗教的迫害である。クリステロ反乱とも言う。これがクリステロの旗だ。
クリステロの意味は調べたがちゃんと出てこない。スペイン語だが、映画を観て状況を考えるに、クリスチャンが関係する言葉だろう。wikipediaを見てみよう。
1917年、ベヌスティアーノ・カランサが大統領の時に新しい憲法が制定されたが、それは政教分離に基づき「国家が宗教に優先する」というカトリック教会には厳しい内容であった(第130条)。教会や神学校は閉鎖された。1924年に、プルタルコ・エリアス・カリェスが大統領となると、無神論者でフリーメイソンだった彼は教会を敵視し、1926年6月に教会の政府登録を義務付け、違反者の罰則を強化したカリェス法を制定し、次々と教会財産を没収していった。
大統領がキリスト教が嫌いだったのでそれを迫害したということだ。私もどちらかというとそっち側だが、もし権力を持ったとしてもそういう強制的なことはやらない。『じゃあ何が良いというんだ』という問いに答える為に、その答えを提示し、それを見てもらうことはするだろうが、人間の心底まで深く入り込んで一体化した宗教を、その人の中から引っこ抜くことは、その人の死を意味する場合が多く、それはつまり殺人である。
いや、私に親がしたことも殺人だ。私はクリスチャンでも、はたまたムスリムでもユダヤ人でも仏教徒でも、神道、儒教、ヒンズー教とも関係ない『無宗教者』である。だが、『無神論者、フリーメイソン』とは全く違う存在だ。それに関しては下記の記事に書いた。とにかくその私にクリスチャンであることを強要した両親は、それが殺人罪に等しいことを自覚する必要がある。
それはさておき、この映画ではクリステロ戦争の英雄エンリケ・ゴロスティエータが活躍する。『アンタッチャブル』、『ブラックレイン』、『ゴッドファーザー』その他数々の名作に出演するアンディ・ガルシアがその役を務め、どこかで聴いたことがあるスリリングなBGMと共に、緊張感のある戦闘を展開。彼らは宗教の自由の為に、独裁政治に抗うのであった。