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『ヒトラーを欺いた黄色い星』 レビュー(感想)と考察

『ヒトラーを欺いた黄色い星』

ポスター画像出典:『映画.com

 

ドキュメンタリー映画にも近いこの映画は、当人たちが当時を振り返って回想する形で展開される。だからもちろんこれは実話だ。第二次世界大戦のベルリン。つまりナチス・ドイツの本拠地たるこの場所で、なんとホロコーストの対象であるユダヤ人がその身分を隠して生き延びたというのである。しかもその数がすごい。実に1500人である。だが、7000人いたはずの彼らの数を考えると、生き残ったのは5分の1やその程度。その他の人たちは皆死んでしまったのである。

 

それでもあの地獄の中心地でそれだけ生き残るのはすごい。『シンドラーのリスト』『戦場のピアニスト』を含め、ナチスのホロコーストの映画は多くあるが、ナチスはユダヤ人を見つけたら迷うことなく頭に銃弾を撃ち込み、街中で平気で命を奪っていた。それまでその人のドラマがどれだけ波乱に満ちていて、どれだけその人を愛する人がいても関係なく、引き金を軽く引いて終わりだ。その機会的な行動を客観視していると、本当に今人が死んだのかどうか疑いすらしてしまう。

 

いやまさかな。そんなはずないよ。

 

我々が生きていて植え付けられてきた一切の常識が通用しないのだ。そういう光景が何度も繰り広げられる。だからそこにあるのは現実じゃない。『地獄』なんだ。多くの人がその状況に『現実ではないこの世界のどこか(地獄)』を想像したに違いない。

 

では、彼らは一体どうやってその地獄を生き抜いてきたというのか。

 

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