ポスター画像出典:『映画.com』
『バタリオン』とは大隊のことであり、それは独立した活動を行うことができる最も小さな戦術単位で、通常は師団・旅団・連隊の一部である。『ある部隊の話』と考えればいい。この場合、ソ連時代の女性で結成された部隊が、第一次世界大戦中の1917年、ドイツ軍と正面衝突するまでを描いた映画であり、実話ベースである。
ソ連はちょうど帝政ロシアからソヴィエト連邦に変わった年だ。1721年から1917年までに存在した帝国が前者。そこからロシアに変わるまでの間が1922~1991年までの間がソ連だ。だからこの年は微妙な『継ぎ目』の時。2月革命とは、第一次世界大戦中のロシアで1917年に発生した革命運動。ロマノフ朝による帝政(ロシア帝国)が崩壊し、数年間の革命と内戦を経てソビエト連邦の設立につながった。この後、ロシア革命(10月革命)が起き、
といったよく知るソ連のトップたちの名前が登場することになる。したがって1917~1922年までの5年間というのは、『臨時政府』という形でケレンスキーなどの人物がロシアの代表を務める。そして、ソヴィエト連邦へと繋がっていくのである。
そういうロシアの歴史を切り取った実話ということだけでも貴重な映画だ。では内容はどうか。まず、正直な感想を言うと女性が戦争に出るということで、それまで観てきた10割近い戦争映画が男性兵士の話なので、眉間にしわが寄る。案の定、威勢は良いが喧嘩は猫パンチ。女性の限界を見ながら、ある種、2軍3軍の試合を見るかのようなイメージで、気を抜いて見てしまっていた。
だが、徐々に雲行きが変わってくる。髪を坊主にするだけで涙するところはまだ甘いが、それも含めて映画を通して女性の実態を再確認するようになる。そして、いくつかの場面を通し、確かに男性のそれとは勢いが全く違うが、ここにいる女性たちが、竹を割ったような覚悟は持たずとも、彼女らなりに命を懸けてこの戦争に臨んでいることが伝わってくるのだ。
したがって、私はこの映画を見下すことは決してできないと悟った。むしろ、誇り高き女性たちがソ連に存在した。そう確信して自分の人生のふんどしを締めなおしたのである。