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『尚衣院-サンイウォン-』 レビュー(感想)と考察

『尚衣院-サンイウォン-』

ポスター画像出典:『映画.com

 

朝鮮時代を描いた韓国映画は、彼らが描かなければ世に出ないので、それだけで貴重だ。時代は1750年頃の李氏朝鮮(1392-1897年)。時の国王は16代国王英祖(ヨンジョ、えいそ、1694年10月31日 – 1776年4月22日)である。映画を包括的に考えればわかるのだが、数ある朝鮮時代を描いた韓国映画で、時代が重なる映画というのはほとんどない。ほとんどが違う時代を描いている。それはつまり、製作者側が、

 

『うーん、この時代はもう描いたよな、そんで、こういう展開だろ、こうして復讐で・・』

 

という話し合いをしている可能性があるのである。実際には知らないが、そうあってもおかしくはない。その証拠に、

 

  1. 各映画で時代が重ならない
  2. 各映画で展開が違う(異なった色を持っている)

 

という共通点があるのだ。それぞれを潰し合わないように、また朝鮮時代の歴史を一つ一つ埋めていくように、差別化を図りながら、ニッチを埋めながら、かつ興行的に成功できるように計算されている気がするのである。

 

要は、各王の時代の何を切り取るかがポイントで、王がやること、王宮で行われることというのは大体同じだ。その決まり切ったルーチンワークに焦点を合わせるか、それとも、その時代特有の文化や習慣、事件や出来事などにスポットライトを当て、差別化を図りながら、間接的に当時の時代を描いて歴史を埋めていくか、と考えた場合、もちろん後者にするべきだと即断するはずだ。

 

今回の場合は『衣服』だ。当時の衣服を担当した人間の中には、もちろん王や王妃といった最上級の人間の衣服を扱う者もいた。では、そんな人物から見た王宮の実態とは。