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『観相師 -かんそうし-』 レビュー(感想)と考察

『観相師 -かんそうし-』

ポスター画像出典:『映画.com

 

朝鮮時代を描いた韓国映画は、彼らが描かなければ世に出ないので、それだけで貴重だ。時代は1453年頃の李氏朝鮮(1392-1897年)。時の国王は6代国王瑞宗(タンジョン、たんそう、正統6年7月23日(1441年8月9日) – 天順元年10月24日(1457年11月11日))である。11歳で王に即位した瑞宗の座を狙う首陽大君の政権抗争(癸酉靖難)に巻き込まれた天才観相師を主軸として描かれる。

 

『尚衣院-サンイウォン-』の記事に書いたように、朝鮮映画には

 

  1. 各映画で時代が重ならない
  2. 各映画で展開が違う(異なった色を持っている)

 

という共通点がある。それぞれを潰し合わないように、また朝鮮時代の歴史を一つ一つ埋めていくように、差別化を図りながら、ニッチを埋めながら、かつ興行的に成功できるように計算されているように見える。だから今回は観相師という『占い師』目線で見た王宮の話だ。聞きなれない職業で、かつ時代劇、更には暑苦しそうなオッサンということで、もっと華やかな演者や舞台で展開される映画違って地味に見えるが、そこは『パラサイト』で世界をあっと言わせたソン・ガンホだ。その味のある実力でこの時代の朝鮮を見事に切り取り描き切っている。