『レインマン』
サヴァン症候群の兄レイモンドは、確かに異質であり、さっさと死んでもらうか何かして、遺産を自分だけのものにしたい。兄がいたことなんて知らされていなかったんだし感情移入もできない。自分の会社の経営のことを考えても、悪いが遺産は俺のものだ。弟のチャーリーはそう思った。だが、彼は兄との策略に満ちた短い生活の中で、とあるキーワードを耳にする。『レインマン』である。
おかしい。兄が言ったその言葉、どうも聞き覚えがある。チャーリーは自分の心の中で、大きく何かが動いたのを感じた。